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JAGAT会員対象の「印刷産業経営力調査」から、新技術/サービス/システムの導入状況、今後の導入意向についての結果を紹介する。
JAGATが毎年、会員企業を対象に実施している「印刷産業経営力調査」の2008年度の調査結果から新技術/サービス/システムの導入状況、今後の導入意向についての結果を紹介する。回答企業数は161社である。
図1は現在導入が多い順に並べたものである。第1位はカラーマネジメントシステムで58.4%、第2位が高精細印刷で41.0%、第3位がバリアブルデータ印刷で37.3%であった。ここまでの順位は昨年と同じである。以下広色域印刷20.5%、XML自動組版15.5%、リモートプルーフ15.5%となっている。昨年から大きく率を上げたのは、バリアブル印刷(8.1%増)と広色域印刷(5%増)である。一方で、JDFワークフローについては昨年度も今年度も5.0%で変わっていない。
また、導入した結果の満足度についても問うている。A:大変満足、B:やや満足、C:普通、D:やや不満、E:非常に不満の5段階評価で回答してもらい、A:5点、B:2点、C:0点、D:-2点、E:-5点という重みづけで点数換算した結果を満足度として算出した。平均満足度が最も高いのが高精細印刷(1.02点)で、少し離れてリモートプルーフ(0.68点)とカラーマネジメントシステムとなっている(0.63点)。
JDF関連では、JDFワークフロー(-0.25点)、JDF対応MIS(-0.27点)と若干不満という結果となった。
図2は今後3年以内に導入を予定しているとの回答が多い順に並べたものである。第1位はWebToPrintで14.9%であった。前年度は8.1%で第5位であったので導入意向が大幅に伸びた結果となった。これまでは営業レスともいえるその受注スタイルが日本で定着するかどうか懐疑的な見方も少なくなかったが、印刷会社の受注形態の一つとしてそのポジションを確立しつつあるようだ。
第2位は前年と変わらずリモートプルーフ(10.6%)、第3位がJDFワークフロー(8.7%)で昨年の1位から順位を下げている。バリアブルデータ印刷は第4位であるが、前年度の3.7%から6.8%と大きく数字を伸ばしている。
図3は今後とも導入予定なしとの回答が多い順に並べたものである。第1位がXML自動組版(12.4%)で、前年度の8.1%から回答数が大きく伸びた。第2位はJDFワークフロー(11.8%)、第3位はJDF対応MIS(9.9%)となったが、これは前年度と同様の傾向である。
全体としてWebToPrintとデジタル印刷に今後の活路を見出したいという意向が読み取れる結果となった。一方でJDFについては関心が薄れ気味で、普及に向けて踊り場を迎えつつあるようだ。
なお、2008年度の「印刷産業経営力調査」の詳細結果については、6月中旬刊行予定の報告書をご参照ください。