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先日、米Wikimedia FoundationがWikipediaなどのコンテンツにクリエイティブ・コモンズライセンスを適用すると発表した。
photo: creativecommoners on Flickr
Wikipediaがクリエイティブ・コモンズ導入、再利用が容易に(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/05/25/23544.html
CCライセンスの使用条件としては、「Attribution(表示)」「Share-Alike(継承)」を採用(CC BY-SA)。ユーザーは、適切なクレジットを表記すればコンテンツを他のサイトで利用できるほか、元の使用条件を明記した上でコンテンツの改変も行えるようになる。
Wikipediaは2001年の開設以降、ライセンスには「GNU Free Documentation License (GFDL)」を採用していた。当時は、ソフトウェア以外の作品に適用可能な数少ないライセンスだったためだという。CCライセンスは2002年に誕生した。
デジタル社会の恩恵として、複製コストがゼロになったということがある。コンテンツをコピーするのにお金はかからない。そしてそこにインターネットが加わり、情報を共有するということに繋がった。
情報化社会としての宿命として、先日のクロスメディア研究会「情報の変革から見えてくるeラーニングの動向と全貌」にて日本イ-ラーニングコンソシアムの小松秀圀氏からもお話されていたが2011年には全世界の情報量は1.8エクサバイト(1エクサバイトは10億ギガバイト)に到達するであろうという試算がある。
出典:IDC「The Diverse and Exploding Digital Universe」
http://www.emc.com/collateral/analyst-reports/diverse-exploding-digital-universe.pdf
2000年ごろからのブロードバンドの波によるコンテンツ活性化の時代、サービスの勝ち組というのは、ユーザに無料でサービスを提供しとにかくシェアを獲得、そして広告ビジネスモデルで収益化するという流れがあった(収益化も難しかった)。2005年ごろからのYoutubeを代表とする流れはそれとは違い、ユーザの創り出すコンテンツをコミュニティ化し、そのメディアの価値を高めるという方向にあった。ビジネスモデルは広告だけでなくコンテンツになる可能性が出てきた。いわゆるWeb2.0と騒がれた動きである。
コミュニティはつまるところ情報共有である。Youtubeはユーザが次々に創り出すコンテンツに一切お金を払っていないが、いわゆるユーザの貢献度は加速し(いまや1分に20時間ぶんものコンテンツがアップロードされているとのことである)、サービス開始から一年弱で16億5000万ドルという値がついた。
その情報共有の際には著作権の問題がセットとなる。Youtubeを例にすれば著作権を侵害しているコンテンツが次々にアップロードされて削除されているのは周知の事実だ。しかし著作権の問題をクリアしユーザの利便性を高めているサービスが成功しているのも確かである。そのため、著作権をクリアするためにお金を払うのか払わないのかということがある。そのあたりの様々な取り組みを次回のクロスメディア研究会でとりあげる。
権利処理の解決法の動向や、コンテンツビジネス全体の俯瞰のためにも、ぜひご参加いただきたい。お申し込みは6/18まで。
情報共有時代のコンテンツビジネス動向
http://www.jagat.jp/content/view/784/223/