印刷会社の管理会計と帳票設計に関する知見(2)
CTP/CIP3ワークフロー
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帳票の設計原則
管理会計における予算実績対比表などの帳票設計は、商法や法人税法などに拘束されない。従って、自由に経営者が精度の高い判断をしやすいように設計すればよい。自由とは言っても原則はあり、それは以下のようなものである。
一覧性
異常値の発見が容易でなければならない。勘定科目は多くなり過ぎて焦点があいまいにならないように分解・集約する。分解と集約のポイントは、管理可能経費と管理不能経費を明確化することにある。変動費的要素の強いもの、例えば材料費なら用紙・版・インキに分解、人件費は残業費・パート代などに科目分解する一方、削減努力の余地が少ない公租公課・通勤費・保険料などは科目を集約して焦点を明確にする。この過程では自社のKPI(Key Performance Indicator)を明確にすることになる。
汎用性
将来を見通し、一定の時間経過や事業内容・取引額・組織の変化にも耐えられるよう汎用性を考慮する。新規事業に進出の際などに対応しづらい設計をすると、変化の度に変更する羽目になる。数年に一度のマイナーチェンジはあってもよいが、フルモデルチェンジを繰り返すと、過去の帳票と現在の帳票の科目が異なってしまい、期間比較が困難になる。
規則性
出力時期は一定のタイミングで規則正しく出力し、科目や予算比、前年比、部門なども一定の規則に従って見やすく配置し、目で追いやすくせねばならない。また、勘定科目は関連性の高いものを小計でくくり、各小計の中では関連性を考慮しつつ費用の大きい、重要性の高いものから順に並べ、異常値を発見しやすくする。単に科目コード順や部門コード順に並べられた管理会計帳票は、経理担当者やシステム担当者本位であって、経営者本位になっているとは言いづらい。
例えば,経営管理者が「誰も数字に興味を持たない」と言うとき,一度は帳票設計に疑問を持つ必要がある。それは見やすいか,焦点が明らかにされているか,変化を捉えやすいか。興味を持たれるように設計することは,印刷物の作成に通じることである。
2006/08/23 00:00:00
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