印刷会社への出向による制作からDTPの内製化を計るべく採用されたのですが、それは単なる「引き継ぎ」ではなく「躍進」でした。MacからWindowsへ、Illustrator8、Photoshop5からCSへ、そしてOuarkXPressからInDesignへ…と環境は大きく変わったのです。最初の壁は、InDesignでのフォーマット作り。当紙は、創業から28年間「地域の人たちに有益な情報を届ける」ことをモットーとしており、記事面はライバル紙と差別化する重要な武器。合成フォントを作るところから始め、OuarkXPressと同じように、より効率的にとベテラン前任者と協議を重ねました。
独学でDTPに触れていた私は、「分からないことが分かっていないんだ!」ということを痛感。また、印刷出力データを制作する立場となったことで、印刷工程すべてを学びたいと思い、取引先の印刷会社で推奨されているDTPエキスパートを受験することにしました。1回目は、DTP関連知識のカテゴリが合格ラインに届かず不合格。くやしさをバネに2回目の挑戦で合格しました。問題数の少ない色の知識のカテゴリは、不安材料でしたが学生時代に取得していた色彩検定とリンクする部分が多く助かりました。試験勉強中は、仕事に臨む心構えを再認識させられたり、理想論ばかりが正解というわけではなく、現状を反映した問題もあり、ニヤりとすることもありました。合格後は、時に参考書を読み返し手引きとしたり、更新試験をいい意味でのプレッシャーとして、新しい知識の吸収に努めています。
内製化が落ち着いた後の大きな変化は、FTPサーバを介したPDF出稿の導入でした。トラブルが起きる度、睡眠時間が削られてゆく日々。しかし、安定してからは校了から「データに問題なし」のお墨付きを頂くまでの時間が大幅に短縮され、安心して眠ることができるようになりました。
当社を取り巻く環境は、若年層の新聞離れやライバル紙増加など苦しい状態にあります。今年7月から新しい層を取り込むべく、月刊のフリーペーパー「PIECE」(新聞折り込み+店舗、文化施設などへの配置)を発行しています。従来の仕事と並行しながら新しい物を生み出すことには、莫大なエネルギーが必要でしたが、突進編集長(彼女は双子説が浮上するほど動き続ける…)を中心に実現しました。山口市のみならず、県内外の情報をQRコードやWebも活用しながら発信しています。
最近は、クライアント側からの「制作者と直接打ち合わせがしたい」といった要望が増えてきました。企画提案材料にも工夫が求められているように感じます。外部からの入稿データも多様化する中、いろいろなことに柔軟に対応できる人材に成長するには、今何をするべきか?自問自答の日々です。
個人的に気になっていることは、健康面。制作チームでストレッチやバドミントンをしたりしていますが、皆さんはどうされていますか? 長年DTPの世界で活躍している方の健康法・愛用グッズを知りたいです。また、これから結婚・出産で、日々進歩するDTPの現場から離れた時のことを考えると、少し不安な気持ちになります。しかし、心強いことに、営業職も含めた女性社員が半数を占めるようになりました。元気に働く女性が増えれば、職場復帰の環境は、整う方向へ進んでいくはず!私も、そんな一人になれるようがんばっていきたいです。
■月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2006年12月号
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2006/11/28 00:00:00