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Web名刺受発注サービスの展開

デジタル印刷ビジネスで成功するポイントは、印刷以外の能力によるところが大きい。例えば、Webを利用した入稿システム「Web to Print」による効率化が求められる。多品種小ロット印刷の典型とも言える名刺印刷では、Web上でレイアウト確認をおこない発注する方式が急速に普及している。
株式会社山櫻 e調達ソリューショングループ長の笠原祥子氏に、同社のサービスについて話を伺った。

Web to Printの実現

Web to Printという面から名刺受発注サービスを見ると、3つの要素が重要である。

1点目に自動組版がある。名刺では、会社名、部署名、名前や住所など、1つの会社で何種類ものレイアウトが存在する場合がある。想定される全てのレイアウトを集約し、そこにデータを流し込むことによって自動的に組版を行う。99.9%の名刺が自動処理できるのであれば、0.1%の特別な名刺は、従来通りIllustratorでやる方が早いだろう。

2点目は、Web対応である。文具や消耗品、書籍などのネット発注は、日常的に行われるようになった。これらは、既成の品物を扱うカタログ型サイトで注文することができる。
名刺の場合、可変データを扱うため、自動組版を利用した名刺発注サイトが必要となる。山櫻の名刺発注サイトは、正確なプレビュー確認が可能なことが特徴である。

3点目は調達システムとの連携である。Aribaバイヤーという調達システムは、非常に高価で、超一流企業しか導入できない。しかし導入した企業は、世界中から最適なものを調達することができる。名刺もそのアイテムの1つである。
調達システム連携のメリットは、発注者が誰で、いつ、いくらでどこから買ったのかという情報がすべて企業側で管理されることで、その後の請求、支払など会計処理はすべて自動で行われる。

CARD MATE Web

これらを統合したものが、CARD MATE Webというインターネットからの名刺受発注のASPサービスである。対象はユーザー企業、および印刷会社を想定している。企業側でデータを入力し、名刺のプレビューを確認して発注を行う。
印刷会社では受け取ったデータに手を加えずに印刷できる。
実際のフローでは、企業の発注担当者はプレビュー確認後、発注申請を行う。承認者が申請を承認すると、CARD MATE Webから自動的に印刷会社へ名刺データが送信される。個人情報なので、このデータには暗号をかけて送っている。

企業側から見た効果として、FAXを送るなどの手間が削減される。管理者は、全国の誰がいつ名刺を発注したか、Web上で確認できる。また、プレビュー確認を行うので、間違いも少ない。手書きやFAXでは、メールアドレスなど細かいところで間違いが起きやすいが、そういう間違いも少なくなる。

(概要をJagat Info 2006年12月号、詳細報告はテキスト&グラフィックス研究会会報 Text & Graphics No.250に掲載しています)

2006/12/09 00:00:00


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