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ハイブリッド印刷の有効性

ハイブリッド印刷という言葉は、古くからあり、1台の印刷機に数種類の異なった版式の印刷ユニット、例えばオフ輪にフレキソ印刷のユニットを組み込むことをそう呼んできた。最近では、従来型の印刷機構による固定印刷イメージと印刷版を用いない可変イメージをプリントする技術を組み合わせた印刷機械が誕生した。具体的には、刷版を用いたオフセット印刷などに高速デジタルプリント技術の同一生産ライン化、ハイブリッド化である。ハイブリッド印刷普及の背景には、仕事を確保するための自社のアピールや、より訴求力のあるDM(ダイレクトメール)作りへの要求などがある。

利用されるインクジェットには、随時吐出型と連続吐出型(コンティニュアス)タイプというインキの吐出方法で大きく二種類の形式がある。後者は、150〜300m/分の印字速度が確保でき、ハイブリッド印刷にはこのタイプのインクジェット装置を組み合わせることで生産性向上が発揮できるという。ハイブリッド印刷の効果について、テキスト&グラフィックス研究会にてお話を伺った。



ハイブリッド印刷の有効性

 ハイブリッド印刷という言葉は、古くから印刷の用語として使われている。その場合の意味は、1台の印刷機に数種類の異なった版式の印刷ユニットを持つ構造を示すことが一般的である。例えば、オフ輪にフレキソ印刷のユニットを組み込んだりすることをハイブリッド印刷と呼んできた。
 一方、最近の様々な技術の変化に伴い、従来の固定イメージを扱う汎用的な印刷機ではなく、印刷版を用いない、ノンインパクトプリントの技術を利用することも一般化してきている。

 従来型の印刷機構による固定印刷イメージと、印刷版を用いない可変イメージをプリントする技術を組み合わせた印刷機械が誕生している。
 ハイブリッド印刷普及の背景には、以下のような印刷業界を取り巻く変化が大きな要因になっている。
1)刷版のみでの印刷需要に限界がある
2)より訴求力のあるDM & ゴミ箱に行かないDM
3)ハイブリッド印刷の利用

 以上のような背景から、高速のデジタルプリント技術と伝統的な刷版を用いたオフセットやフレキソ、スクリーン印刷などとの同一生産ライン化、ハイブリッド化が有効ではないかと考えた。
 コンベンショナルな印刷技術で、高級な印刷品質を確保し、それにデジタルプリンタで1to1の情報加工を施す相乗効果によって、顧客への高い訴求力を持ったDMの加工が可能である。
 このような考えによる加工は以前から一部で実用化されている。印刷機とデジタルプリンタの速度を含めた生産性に差があり、作業工程を二段階、三段階に分けて行ってきたのが実状である。

デジタルプリンタの技術

 デジタルプリンタの技術は、ノンインパクトプリント技術でもあり、いろいろな方式がある。よく知られているノンインパクト技術は、電子写真方式である。これは方式的に高速対応が難しく40m/分前後が中心である。高速性が喧伝されていた、イオノグラフィやマグネトグラフィも100m/分前後が限界と言われている。これでは、オフ輪の印刷速度、400〜500m/分とジョイントしてハイブリッド化することはできない。

 これらの課題を解決するため、高速インクジェット方式でのデジタルプリントを提案している。ただし、インクジェットであればどれでも良いという訳ではない。
 インクジェットにはインキの吐出方法で大きく二種類の形式がある。一つは随時吐出型と言われるタイプで、これは印字速度が遅く100m/分以下になる。もう一つの方式は、連続吐出型タイプであり、150〜300m/分の印字速度が確保できる。
 ハイブリッド印刷には、この連続吐出型のインクジェット装置を組み合わせることが生産性の向上という意味で、効果的ではないかと考えている。

(続きはJagat Info 2007年4号、詳細報告はテキスト&グラフィックス研究会会報 Text & Graphics No.255に掲載しています)

(テキスト&グラフィックス研究会)

2007/04/22 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会