複数のソースから提供されるコンテンツを組み合わせて、新たなWebアプリケーションを作り出す「マッシュアップ」が注目を集めている。クロスメディア研究会では、その最新動向について、Mash up Awardを主催するリクルートの八木一平氏にお話を伺った。
マッシュアップとは元々は音楽用語で、DJやリミキサーが複数の曲を混ぜて新しい曲を作り出すことを指していたが、転じてIT業界でもいろいろなものを組み合わせて新しいサービスを作り出すことをこう呼ぶようになった。 マッシュアップをしていく上で、パーツとして機能していくものがWebサービスであり、Webサービスを利用するためのインターフェース、システム同士の連携の仕方がAPIである。代表例としてはGoogle Mapsの地図を自分のサイトに表示する例などがある。
リクルートは、広告掲載料の対価としてクライアントにカスタマーのアクション(反響)を返すというビジネスモデルで運営している。 クライアントの視点で考えると、アクションが返ってくればそれでいい。たとえば「じゃらん」以外のメディアからでも「じゃらん」の情報が使われて、そこから宿泊予約申し込みが発生すればクライアントには喜んでいただける。ということで、より多くのメディアでリクルートの情報を使ってもらう手段としてWebサービスを提供している。
サンマイクロシステムズとリクルートが主催して、2006年6月にMash up Awardの第1回コンテストが行われた。応募作品数は56作品。リクルートのWebサービスと様々なリソースを組み合わせて新しいサービスを作るというものであった。
第2回は、2007年の1月から3月にかけて開催された。サン、リクルートに加えて17の法人が参加してWebサービスが提供され、応募数は108作品。以下に主な受賞作を紹介する。
●最優秀賞「出張JAWS」:ビジネスパーソンの出張準備をワンストップでサポートするサービス。「駅すぱあと」、「じゃらん」、「ホットペッパー」のWebサービスを利用している。
●優秀賞「doodle」:主に携帯向けのサービス。自分のGPS情報をインプットすると、地図上でその近くのポイントに立てられた掲示板にアクセスしたり、自分のいる場所に掲示板を立てることができる。
●特別賞「no3215.com」:こちらも携帯向けのサービス。最短2クリックで最寄りの飲食店を探すことができる。
●NTTデータ賞「子育てMAP」:
育児施設、公園、病院の情報について、国土交通省国土計画局の情報をCSVでダウンロードし、DBに格納して地図上にプロットしている。さらに、子供連れの親を対象に、「ホットペッパー」や「じゃらん」のデータなどを合わせて提供する価値の高いサービス。
第1回は、Google Mapsの上にレストランの情報を載せるというような、「地図に情報を乗せただけ」というサービスが多かったが、第2回はそのサービスが提供する価値をしっかり考えた完成度の高い作品が増えてきた。特に以下の傾向を持った作品が増えている。
・携帯電話、ゲーム端末などパソコン以外のデバイスに対応した作品
・情報の関係性や構造を視覚的ユーザーインターフェースで表現する作品
・GPSやPlaceEngineを利用した、現在地を軸にした作品
・ブログやSNS、動画共有サイトのAPIとマッシュアップした作品
・フロー型のデータをストックし、時系列で提示した作品
(JAGAT info 7月号より一部抜粋 クロスメディア研究会)
2007/07/18 00:00:00