メジャーアップグレードしたPhotoshop CS3は、さまざまな新機能の他、操作性の改善も行われている。例えば、使用頻度の低いパレットをアイコン化することができる。新機能のスマートフィルタは、元画像を変更せずにフィルタを適用することで、いつでも元画像に戻って再編集することが可能である。レイヤーの自動整列や自動合成は、画像の内容に応じて自動的に最適な画像合成をおこなう機能である。
CS3ではStandard版のほか、新たにExtended版がリリースされた。Extendedは、3Dやモーショングラフィックスなど高度なクリエイティブワークを実現することができ、印刷だけでなく画像処理における新ビジネスへの進出も可能になる。
Adobe Photoshop CS3の新機能とExtendedの特徴について、アドビシステムズの栃谷宗央氏に研究会でお話を伺った。
■デジタルイメージングのラインアップ
アドビシステムズでは、デジタルイメージングのラインアップとして、今まではPhotoshop Elements、Photoshop Lightroom、Photoshop CSシリーズの3つを持っていた。例えばElementsは、一般の方でも使用できるよう簡単、手軽に操作ができるレタッチのツールである。
また、カメラマン向けにRAWデータ等を現像する。この1本で何でもできるというコンセプトで、2007年3月末から発売している。
Photoshop CS2は、プロ向けの強力なレタッチ等を行うツールである。CS2のメジャーアップグレード版がCS3であり、さらにAdobe Photoshop CS3 Extendedというラインアップが1つ追加されている。
Photoshop CS3とCS3 Extendedの違いは、まず顧客対象である。例えば、CS3は従来のプロフェッショナルフォトグラファー、ハイアマチュアのカメラマン、グラフィックデザイナーおよびWebデザイナーとすれば、Extendedは主に以下の3つのターゲットが考えられる。
1.映像系
2.建築および製造系
3.医療系
さらに、学生および教育関係に携わる人が購入できるPhotoshopのアカデミック版がある。
■Photoshop CS3
Photoshop CS3になって、さまざまな新機能が生まれている。トップ10の機能は、以下のとおりである。
1.スマートフィルタ
2.「クイック選択」、「境界線を調整」ツール
3.高度な画像合成
(「レイヤーを自動整列」「レイヤーを自動合成」)
4.使いやすさが向上したインタフェイスとパレット管理
5.RAW画像処理の改良
6.Adobe Bridge CS3による迅速かつ柔軟なアセット管理
7.改良されたVanishing Point(バニッシングポイント)
8.32bit High Dynamic Rangeのサポート
9.各種OSにネイティブ対応
10.リッチな白黒画像に変換
いろいろな機能が入っていく中で特に注目すべきは、Adobe Bridgeである。Adobe Bridgeは、PCの中にある画像やイラストデータを簡潔に開くことができる。また、アプリケーションを開く前に内容確認ができるので、作業効率が向上する。
さらにCamera Rawがある。印刷業界でどのように取り扱われているかという点も、いろいろ議論はある。Photoshopで最終的にRawの現像をするという意味合いでは、Camera Rawのプラグイン、Rawデータを直接Photoshopの中で開くことができることはメリットが大きい。ワークフローやアプリケーション習得の意味も踏まえ、Rawデータを取扱う場合にはPhotoshopの中で処理したい。
ただし、その前に実践しなければならないことは、フォトグラファーとのコミュニケーションである。どちらが何の処理をするか、このコミュニケーションは必須である。
このコミュニケーションがとれていないと、最終的な印刷になったとき、大きな間違いが発生したり、色の障害が起こる可能性がある。したがって、コミュニケーションをとってルールを作り、付加価値にすべきであろう。
(続きはJagat Info 2008年2月号、詳細報告はテキスト&グラフィックス研究会会報 Text & Graphics No.266に掲載しています)
2008/03/05 00:00:00