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世界のデジタル印刷事情:2008年5月

デジタルとオフセットの分岐点

デジタル印刷とオフセット印刷のクロスオーバー・ポイントはいくつかの条件で異なるので一概には言いにくい。以下は、「アメリカン・プリンター2008年2月号」に掲載された「プレス・ルーム」の記事中で、この点についてデジタル印刷機のベンダーの見解として紹介されている内容をピックアップしたものである。

A社
インキジェット・プリンターとオフセット印刷のクロスオーバー・ポイントは5000部〜6000部だが、電子写真方式のデジタル印刷の場合には約1000部である。上記2方式による違いは、インキジェット方式がスポットカラーを含むモノクロ印刷物を高速に印刷することが可能な一方、電子写真方式は高品質だがスピードはインキジェット方式に比べて遅いからである。
B社
カットシートでの印刷では1000枚がクロスオーバー・ポイントになるが、ロール紙では2500枚まで上昇する。
C社
デジタルブックの場合、被印刷体によっても異なるがデジタル印刷機による一般的な印刷部数は1000部程度である。
D社
特別にオフセット印刷でなければならないという理由がない限り、書籍のデジタル印刷の平均部数は2500〜3000部。
E社
300ページ、300部がデジタル印刷機による平均の印刷。デジタル印刷とオフセット印刷機の両方を持っている業者のクロスオーバー・ポイントは、仕事の内容とオフセット印刷の効率性によって300部〜700部がスイートスポットになる。
F社
当社製品の場合の一般的な印刷部数は2000部から4000部。
ライトニング・ソース
デジタル印刷機で小ロット書籍印刷ビジネスを確立している同社は、4300の出版社から出されている400,000冊の書籍をデータベース化し、月間100万部の書籍印刷を行なっている。同社の印刷における最大の特徴は平均印刷部数が1.8冊ということだが、ヒューレッド・パッカード、アイビーエム、オセ、ゼロックス等のさまざまな設備を使っている。

オセが画期的な新技術を発表

デジタル印刷システムを提供するオセは、「革新的な印刷技術『CrystalPoint』」を開発した。大判のモノクロ、カラー印刷をトナーとインキジェット印刷を組み合わせて行なうものである。同社は、オランダの本社で行なったイベントの中でこの新しい技術を使ったColorWave600を発表した。この技術では、TonerPearlsと呼ぶ小さなトナー球をゲルに変化させ、次にそのゲル化したトナーを紙に吹き付け紙の上で結晶化させて画像を形成する。紙としては再生紙も使える。
オセは、この技術を使ったColorWabe600の主要顧客を、CADデータからの印刷を必要とする建設業界と、POPや小売店でディスプレイを使う企業に設定している。
(グラフィック・コミュニケーション・ワールド2008年5月19日号)

(2008年5月)

2008/05/30 00:00:00


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