タイの印刷業界の抱える問題点
Pakama Daehonklaeh(National Printing Technology, Training Center)
今回のレポートの元になったのは、昨年タイの国立教育訓練センターで行った調査です。
タイでは印刷技術協会とタイ輸出振興協会が合同でいろいろな勉強会を行っております。
先ほどもお話がでましたが、印刷業者2000-3000社あります。その内の200社が製本等のポストプレスと言われています。印刷会社のほとんどがバンコックまたはその周辺に集中していいます。地方に行きますと極端に少なくなります。1600社前後がバンコックに集中しています。
印刷の材料のですが、紙は一部北欧から輸入されていますが、輸入されたものより国内のものが多く使われています。インキ、PS版は日本から輸入されています。政府の支援を受けて国内で材料を生産できるようにしなければ生産コストが高くなります。
タイでは雑誌、書籍、ポスターといった商業印刷が中心です。パッケージングも製品として伸びているようです。フレキシブルパッケージング(軟包装)が従来のパッケージングを上回りつつあります。タイのスーパーマーケットではスナック菓子、シャンプーなどいろいろな容器の包装が多く見られます。将来の市場としてはパッケージングに大きな期待がかかります。パッケージングの印刷では輸出もかなりあります。タイから食料品を輸出しておりそのパッケージングにフレキシブルパッケージングがよく使われています。それに伴って品質の向上が不可欠になっております。
昨年の勉強会でのアンケートは主にオーナーの方に協力をいただきました。
生産分野での問題点:
・ 「プロセスの間での品質チェックが不十分」が回答でもっと多い。
・ 「生産コストが高い」、源材料の多くを輸入しなければならないのでどうしてもコスト高となる。ドイツ、日本からの印刷機の輸入関税が高い。
・ 機械のメンテナンスをする人材が不足。印刷機械のトラブルが発生しますとすべてメーカーに問い合わせをせざるを得ない。そのためメーカー、ディーラに高いメンテナンス費用を払わざるを得ない。
・ 印刷機が古い。旧式のものが多い。新しい技術の導入に躊躇している。
材料についての問題点:
・ 材料費が高い。インキ、紙、フィルム、プレートが高いと回答
・ 一部の源材料には品質が基準に達していない
・ 季節によっては源材料の一部が不足気味になる
人材についての問題点:
・ 機器に対する保守点検の能力不足
・ 新技術への対応能力の不足
・ 低い専門性(低学歴者が大半、高等教育を受けた人材が少ない)
・ 仕事へのステータス不足、低賃金のため業界に優秀な人材が集まりにくい
・ 国家試験制度の導入を検討する
マーケット問題:
価格の値下げから、コストダウンのプレシャーが高い。とくに商業印刷の分野は価格低下が余儀なくされています。価格決定の主導権はカスタマーにありますので、利益の出る価格設定が大変難しい。価格からコストを差し引いた利益が極めて圧迫されています。将来はもっと協力しあってビジネスとして収益がでるような改善が必要です。1999年に経済危機がありましたが、そのときに印刷会社の皆さんはカスタマーから安定した仕事が来なくなるのではと恐れました。そのために価格競争が激化し今日のマーケット問題に繋がっています。
今後は、オン・デマンドやE−コマースなどの新しい技術を利用した、新しいビジネスへの参入が必要です。
以上がタイの印刷業の問題点についてのアンケートの結果です。
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2003/09/20 00:00:00