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ビジネスチャンスとは何か?

印刷関連でかつての何々ブームといような大きな需要は起こらないかもしれない。しかしグラフィックアーツのビジネスは成熟しきったわけではなく、デジタルカメラ、プリンタ、情報家電など個人のグラフィックアーツへの指向は強い。それらが新たな需要に結びつくようにはなっていないだけである。

高齢化にともなって自費出版というのが盛んになってきた。少子の方は仲間内のコミュニティ作りや参画に金を払う傾向がある。このような現代のライフスタイルと結びついた需要の模索が始まっている。

印刷業は製造業としての方向性は集中処理でスケールメリットを出すしかないが、サービス業としては逆に業者が広範に分散していることがプラスになる。デジタルで大メディアが出現するのではなく多メディアが組み合わされて使われるということは、その流れを自分の会社のビジョンの追い風にできると、新たなビジネスは立ち上がりやすい。

産業革命以来この方、技術革新というのがいつの時代もある特定の技術だけを突出して進歩させてきた。それによる歪が社会的に生じて、ビジネスの秩序の一部は崩れてしまう。設備に関しても新しく買い直した方が安くつくとか、伝統を受け継ぐよりも別のやり方を変えると経営効率が上がる、などがある。

こういう新旧方式の能力ギャップから、人々が変化に挑むエネルギーが生じる。最初は特別な応用分野のように思えても、時間と共に古い秩序が崩れ始めるので、周囲からの参入も次第に起こりやすくなる。このことをビジネスチャンスと呼んでいるのだろう。

この歪がもたらす破壊力がチャンスを産むので、それが追い風になるものを見つけなければならない。しかし成熟産業は守りに入っているので破壊力の及ぶようなところには近づこうとしないので、ビジネスチャンスも見えない。まだ資産がいくらもない発展途上のところは、技術革新に積極的に乗ろうとするからビジネスチャンスが見えてくる。

従来の印刷物作りでは、ITによるコストカットに乗じてビジネスチャンスがあり、新たな媒体ではライフスタイルの変化に合わせてビジネスチャンスがある。それを見つけて伸びる個人個人にとってのチャンスと、企業にとってのビジネスチャンスと、業界規模での勢力地図の塗り替えがうまく噛み合わせていくことも産業政策としては重要である。

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2005/09/12 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会