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フォームその他印刷 最新動向

■これからのフレキソ印刷
 フレキソ印刷は、品質向上、対環境問題対応力等が向上してきた。1980年代までは品質向上が最大の目標であったが、1990年代中ごろからは、デジタル製版、アニロックスローラの導入、インキの改良で品質は向上した。そして、環境問題もフレキソには追い風となっている。
 従来は、グラビアとフレキソ、オフセットとフレキソという意識で見ていたが、これからは、フレキソの特徴自体を生かしたセキュリティー分野、ICタグなど、新しい分野の用途開発、市場開拓に向かう時期である。

■フレキソインキの動向
 UVインキは、印刷品質が高く対磨耗性もすぐれているという利点を持っており狭幅のナローウエッブによるラベル印刷分野で多く使われている。しかし、UVランプによる過度の熱の発生、残留臭気等の問題があり、食品分野での利用はまだ限られている。食品包装分野におけるUVインキの利用を考えてみると、フォールディングカートンにおいてインライン加工ができる点がメリットである。
 軟包装分野におけるEB(エレクトロンビーム硬化インキ)インキは、ラミネーションの代替等としての利用が進められている。EBフレキソインキによる印刷では、印刷の安定性の面ではDry-inがなく、インキの特徴として「臭気がないこと」、「化学成分が出ないこと」、「速乾性」、「Dot fidelity」いった利点がある。また、溶剤回収が不必要で、印刷機械の点からは、CI(共通圧胴式)ドラムを小さくすることが出来、機械全体として簡素化できるというメリットがある。

■UVフレキソ印刷の市場動向
 日本におけるUVフレキソ印刷の動向を振り返ってみると、第一段階はショッッピングバッグ等へのPP貼りからの代替分野である。UVフレキソニスを利用する分野で、ハイグロス、対磨耗性、耐水性が要求されるが、UVインキはその性能を満足させながらコスト低減、各種のインライン加工を可能にした。
 第二段階は、ラベル印刷の分野であった。レタープレス、スクリーン印刷を置き換え分野で、台所洗剤のボトルラベル、食品ラベルが主要用途である。この分野では白インキの隠蔽性、高いベタ濃度が要求されるが、UVインキは「ベタのつぶれ」、「高光沢」、「細字再現性」、「印刷速度向上」の点で優れている。
 第三段階はカルトン印刷である。主に、食品パッケージ、贈答箱などに使われている。網点再現性、高精細印刷の適正が求められる。高光沢、ゴースト対策、各種インライン加工にUVインキのメリットが発揮される。そして、クリアファイル、クリアカートン等のフィルム印刷では、オフセット印刷、スクリーン印刷を代替するもので、白インキの隠蔽性、ベタのつぶれ、各種インライン加工にUVインキのメリットが発揮されている。

■進まないプラスチックフィルムへの水性化
 現在、グラビア印刷で問題になっているのがVOC(揮発性有機化合物)の規制だ。20年くらい前から水性化対策として取り組んできたが、ここ10年の間で変わった事は乾燥能力が大きくなったことだ。
 水性インキと油性インキの一番の大きな違いは乾燥速度の遅さだ。水性インキは乾燥エネルギーが必要とされる。そのため、印刷した後にインキを乾燥固着させるための乾燥オーブンを長くし風量がたくさん出るように改良されてきた。
 グラビア印刷の印刷素材はプラスチックフィルムと紙だが、この両者のインキの量を比べるとプラスチクフィルムの方が多い。また、水性・油性のインキの比率を比べると、プラスチックフィルムの水性インキへの変換率はほんの数%で、90%以上は油性インキだ。紙の場合は30%近く水性インキに換わっているといわれている。
 プラスチックフィルムに水性インキを使用すると、プラスチックフィルムそのものの吸収性がよくないため非画線部に汚れが残りやすく、また油性インキに比べ摩擦係数が大きいためドクターが痛みやすく乾燥も遅いなどの問題もあり、プラスチックフィルムへの水性化は足踏み状態である。

■グラビア印刷のこれから
 グラビア印刷の市場は横ばいから微増というところだ。海外からの印刷物の流入などにより減っている部分もある。しかし、例えば今まで缶で売られていたものがペットボトルに換わり、洗剤やシャンプーに詰め替え用の袋が登場し、コーヒー缶もペットフィルムに印刷してから缶に貼るという手法もとられているものもあり、これらがグラビアで印刷されるものが多く、その結果として新規に需要が発生につながっており微増で推移している傾向にある。
 グラビア印刷の強みはいろいろな溶剤が使えて樹脂の選択が広く、様々なプラスチックフィルムにも対応可能なインキを使うことができることだ。顧客からの様々な要求に対応できるインキを製造でき、印刷は金属のシリンダを使いっているので安定してロングランに向いた生産方式というメリットがあるが、これからVOCの規制にどう対応していくかが大きな課題だ。

■フォーム印刷のポイントは後加工
 世界的にみてもフォーム業界は低位安定型であり、低い水準のまま推移している。単純な1パーツの請求明細書等の印刷などデジタル印刷機に移行している部分もある。可変データを扱えるというのが強みだ。デジタル印刷機もこれからの普及が期待される。しかし、基本的に印刷自体の多くは従来と変わっていないようだ。ただ印刷された後の加工についてはインライン方式でのシステムが機械メーカーから印刷会社に提案されている。
 例えば、圧着ハガキをはじめA4サイズの冊子状に圧着されているもの等いろいろな製品に加工をできる機械がある。特に今年は個人情報保護法の関係で目隠しシール等をどのように製造するかということが注目されている。
 したがって、今では情報を保護するための設備が開発されている傾向がある。ICタグもフォーム加工の延長線上にあると考えられており、今後どう対応できるかという問題もある。機械メーカーとしては世の中の消費者が何を要求しているかを的確に捉えて、ニーズにあった印刷物を作成するための機械を提供することを常に意識している。

■ラベル印刷の動向
 ラベル印刷には凸版が多く使われている。しかし、最近では平版オフセットの機械も登場している。こういう機械は、損紙を軽減するためのチェック機能をもち、準備時間の削減という特長をもっていることから生産性アップも期待できる。
 しかし、水の管理等をはじめオペレータにとっては今までにない作業も入ってくることにもなることから、ラベル印刷会社にとっては新たな対応が必要だ。 
                    「2005-2006機材インデックス」より(研究調査部)

2005/10/01 00:00:00


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