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台割り管理機能の重要性

●台割り管理機能を持った面付けソフト
ページ物印刷物の制作における自動化やJDFワークフローへの展開を考えたとき、台割り管理機能は編集制作から製本加工まで、さらに在版管理に至る印刷制作の全工程の管理単位として適切なものであり、自動化やMIS連携などJDFワークフローでこのような機能は重要な要素になる。
今回は台割り管理機能にフォーカスして、三菱製紙の面付けソフトFACILISを事例にしながら考えてみる。このソフトは1993年の開発当初から台割り管理機能を持っているが、以下の記述では実際の製品では未だ実現してない機能についても、欲しい機能として書いてあるので誤解がないようにして頂きたい。

●台割り管理
台割りは主にページ物出版物の制作過程で、出版社(編集部門)などにおいてはページ順に内容構成を企画し、制作管理するために必ず作られる。例えば雑誌編集では広告の位置が変わった、モノクロとカラーの広告を移せる、移せないなどのページの入れ替えなども台割り表を睨みながら散々やるのである。そして印刷会社においてはページ面付けの順番で、つまり8ページ、16ページなどの塊で台割り管理が行なわれる。
今後は出版社(編集)と印刷会社が台割りをやり取りしながら、ぎりぎりの納期をさらに詰めていくためにも、出版社ではページ順で進捗管理し、印刷会社では面付け順で進捗管理する、そして編集部と製版部が台割り管理をベースにしてうまくコラボレーションして作業するというスタイルが大手以外でも出てくるだろう。

●入稿管理などへの可能性
印刷会社でDTP制作から請け負うときに、最初に営業がMISで受注伝票を起こして、それを社内の企画・制作へ回していくが、ページの進行管理については台割りをベースにして管理できると良いだろう。
実際に印刷会社の製版現場で台割りを作るときは、1冊の本に対して複数の台割りを作成して同時並行で流れる印刷作業を管理するという方法も行なわれている。

●面付け自動化
面付けの自動化については、本の構成である台割りに従ってデータを貼込むという流れになる。FACILISのサーバー対応版では、ページデータが全部そろったら面付けを自動実行するという自動面付けのサーバー連携版がある。

●台割り管理における印刷・加工との連携
印刷会社の基本的な受注情報はMISが持っているとしても、FACILISによるページ単位の台割り管理機能には、例えばこの本は何台で、1台目は何面付けで、2台目は何面付けで、どの台が何色で、あるいは左右の台は同ページにするなど、台割りのシミュレーションができるとともに、これらの情報を全部持っている。
JDFワークフローから見ると、制作側からこれらの情報を印刷、折り機、断裁機などポストプレス側に渡せるし、さらに台割りをベースにしてジョブを管理することも可能になる。ジョブ情報として印刷機向けには、1台目の表版はこの色構成とこの用紙サイズ、プリセット用のデータはこれでなど、台割りが持っている情報のうち必要なものは基本的に書き出すことができる。

●インライン化された製本機に必要な情報
製本工程との連携については、インライン型製本機に対しては、折り情報、断裁情報、丁合い情報、三方断裁の仕上げ情報というように、台割りをベースにして一つの出版物の管理情報を製本情報として渡す必要がある。丁合して、それを重ねて、綴じて、ということができるインライン化した製本機に対しては、折り丁1台ごとの情報を渡していてもダメで、必要な台割りの情報を全部まとめて、きちっと渡していかないといけない。このためにも台割り管理機能が重要になる。

●折り込みページの折り指示
ページ面付けと折り加工も、必ずしも1対1で対応しないことがある。例えば短冊状のページを面付けしようとするときは、1、2、3、4、5ページになるが、元原稿では単一ページのことがある。しかし、折り機に対する指示は5面付けに相当する情報を与える必要があり、従ってこの1面付けデータにどこで折り情報を与えるかの課題がある。また、この場合は折りトンボをうまくJDFとして書き出して折り機に渡すというところも、いろいろ考える必要がある。

●面付け情報や在版は印刷会社の資産
面付けの順などを自由に変更できる「面付けレイアウト」を持つFACILISでは、従来から面付けのバリエーションを資産にしている印刷会社も多く、そのパターンが100や200ではない会社もたくさんある。アナログ時代に、刷版の「貼込み台紙」をたくさん持っていたのと同じことで、たくさんの面付けレイアウトを使い回し、会社の資産としている。特に東京などでは外注から受け取ったデータを、注文先の書式で書いて戻すというような仕事も多いので、この書き方はA印刷会社向け、この書き方はB印刷会社向けというようなことが行なわれている。

●台割りをベースにした在版データ管理
RIP出力したデータの在版を面付けごとではなく、ページ順の台割りをもとに管理することについても、既にFACILISの自動面付けサーバーには、いつ何々をやったというような履歴が残っているので重宝に利用されている。デジタル在版管理への台割り管理機能の応用である。
さらに、台割りをベースに、現物と管理データのヒモ付けをうまく行なっていくという発展形が考えられる。

●現物管理への展開も欲しい
台割り機能は、実際のページを印刷する、全体のページをセクションごとにマネージメントすることができる。さらに、出版印刷のように、本文、カバー、帯、スリップなど、1冊の本に展開しているパーツの全体を、まとめて一元管理できるような台割り機能を拡張への展開も欲しい。外注に出ているパーツも台割りをベースに管理することを含めて、現物管理まできちんとできることも必要だろう。

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このように、今後は台割り管理機能がMISと連携して、さまざまな管理を行なえるような仕組みにすることが有効ではないだろうか。

2005/11/23 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会