100年前の未来予想図には、ブリキをリベットで継ぎ合わせたようなロボットがよく描かれていて、中には活字を拾っているロボットもあった。その後に実際に起こったことは皆さんが見てきた通りで、産業用途では人の形をしていない自動化装置が、それまでの人間の作業を代行する方向で進んできた。いわゆる産業ロボットで、人間のフレキシビリティを自動機械にもたせることである。
日本は産業ロボットの先進国ではあるが、日本では安い労働力がなくなる時代でもあったので、人の嫌がることを代行する方向で開発がされた。国によっては軍事目的とか、危険作業用とか、人の命の置き換えを中心にロボットを考えたところもあるし、近年は救助ロボットが着目されたりと、ロボットの意味は変りつつも所詮ロボットだからか、人の行動にとっては補完的な役割が期待されてきた。
日本が産業ロボットで培った技術は、今後多様な方向で役立っていくだろう。日本のロボットエンジニアが鉄腕アトムで育ったということも関係していると思うが、ロボット開発の夢は次第に鉄腕アトム的に向っているように見える。
日本では少子高齢化の進展により,これからの社会で豊かな生活を実現するためには,労働力の確保が大きな課題となることが予想されている。また,高齢者の生活を支援することも課題となるだろう。このような課題の解決策の1つとして,トヨタ自動車では自動車の開発・生産技術を結集して,人の役に立つ「トヨタ・パートナーロボット」の開発を進めている。
「トヨタ・パートナーロボット」は,人のような身軽さ,柔らかさをもつ「やさしさ」と,器用に道具を使いこなせるなどの「かしこさ」を兼ね備えており,主な適用分野としては,「アシスタント」,「福祉」,「製造」,「モビリティ」などが考えられている。
また,ロボットに求められる機能は,適用分野によって様々であるため,トヨタ自動車では多様な「カタチ」が必要と考えており,現在,「二足歩行型」,「二輪走行型」,「搭乗歩行型」の3タイプを開発している。主な適用分野は,「二足歩行型」が家庭内のアシスタントや福祉介護,「二輪走行型」が工場などでの製造やモビリティ,「搭乗歩行型」が福祉介護やモビリティである。
2005年12月14日(水)に開催する「JAGATトピック技術セミナー2005」では,この「トヨタ・パートナーロボット」の開発を担当しているパートナーロボット開発部主査山下勝司氏が「人と共生するパートナーロボット」について講演される。
2005/12/09 00:00:00