企画趣旨
かつて経験したことがないような猛暑、大雨など気候変動の影響を身近に感じるようになっている。地球温暖化の要因である温室効果ガスの排出量削減は人類共通の課題として、2015年のパリ協定には21世紀後半までに人為的な温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることが盛り込まれ、我が国でも2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指すことが宣言された。
印刷業界では日印産連から印刷業界「2050年カーボンニュートラル宣言」が出され、具体的な取り組みとして、省エネ活動のさらなる推進、再生可能エネルギーの導入、プロセス・構造の転換、新たな情報文化・生活文化の創出などがうたわれている。
個々の企業としても社会貢献という意味合いだけでなく、効率化、省資源化による原価低減の効果や積極的な取り組み姿勢をアピールすることによる受注機会の創出というビジネス面でのプラスの効果が見込める。印刷物の発注側の企業の中には、自社の活動だけでなくサプライチェーン全体での温室効果ガス排出削減に取り組む企業もでてきており、発注者からの要請に備えることも必要となりつつある。
そこで、本研究会では、カーボンニュートラルに向けた印刷業界の指針や実際の取り組み、そしてCO2排出量の見える化を工場の現場改善と結びつける提案を紹介する。自社なりの環境対応を考えるきっかけとしていただきたい。