4月5日〜7日に開催された「第6回 販促 EXPO【春】」から、環境負荷低減と訴求効果を両立させた製品・サービスを紹介する。
RX Japanが主催するマーケティングの総合展「第6回 Japan マーケティング Week 春」が4月5日〜7日に東京ビッグサイトで開催された。
本展は「第6回 販促 EXPO【春】」「第6回 Web・SNS活用 EXPO【春】」「第6回 広告メディア EXPO【春】」「第6回 営業支援 EXPO【春】」「第2回 CX・顧客育成 EXPO【春】」の5つの展示会で構成され、5展合計の出展社数は270社、同来場者数は3日間で19,952人だった。
環境負荷低減の取り組みは、今や欠かせない要素となっており、プラスチック使用量削減・素材のリユース、小ロット・適正在庫、作業負担軽減などに貢献するアイデアが多数見られた。それに加えて、現在の消費者ニーズに応える新しい視点に立ったアイデアが各社から出されていた。
本稿では、第6回 販促 EXPO【春】(以下、販促EXPO)から、素材と印刷を活用した販促手法の提案を紹介する。(出店社名50音順)
株式会社あけぼの印刷社
同社は各種販促媒体の企画制作から、ウェブサイト制作、店内装飾などさまざまな手段を用いて、顧客のマーケティング支援を行っている。
本展では「販促ロスを減らそう」をキャッチフレーズに、販促物の発注管理システム「らくらく販促オーダー」を訴求した。このサービスは、小売業やメーカーなどが扱う販促物の発注内容の取りまとめ・製造・在庫管理・各事業所や店舗への配送までを同社が代行するもの。顧客企業の管理・作業負担を軽減するとともに、在庫の無駄を省く効果がある。
ブースでは、システムの管理画面操作のデモを行うとともに、採用事例紹介を動画で紹介した。
株式会社ウイル・コーポレーション
印刷・後加工のインライン・フィニッシング・システムと企画・デザイン力を強みにユニークな販促商材を展開している。
本展では、大型のポップアップDM「POP-UPワイド」、シール式ではさみや糊が不要のペーパークラフト「魔法のシールペーパークラフト」ほか多彩な商材を紹介し、企業の採用事例を展示した。
株式会社 ガリバー
同社はDMの企画制作・ワンストップサービスを専門とし、圧着DM技術を生かしたオリメール・おっトクハガキ、封入加工を生かしたサンプル in メール・カタメールなどの豊富な製品バリエーションをもつ。本展では、DM大賞受賞作および、同社が提案したDMによって売上高や商品購入率の向上などの実績を挙げた事例を紹介し、DMの販促効果を具体的に訴求した。
株式会社カワグチマック工業 ディスプレイ事業部
同社は、軽くて強度のある紙製のボード「Re-board(リボード)」などの紙建材を使用したディスプレイ・家具の企画・設計・デザイン・製造を手掛けている。
本展では、紙製の展示什器、棚や机などの家具サンプルを展示。また、個人のワークスペースを実現するワークブースボックスを紹介した。工具なしで組み立てられる。机になる棚と椅子が付属しており、吸音パネルを設置。また換気ファン・ダウンライト・コンセントが付属したモデルもある。
株式会社コスモテック
同社は転写シールの技術を応用した、書いて消せるウエアラブルメモ「wemo」シリーズを展開している。今回は、法人向けカスタマイズサービスを紹介した。企業ロゴなどの印刷とタグカラー変更、表面デザインの変更、ベースカラー変更の3つのメニューを用意。また、今回新たにレーザー刻印によって小ロット・短納期にも対応した。wemoは繰り返し書いて消せることから、「脱・使い捨て」のメリットもアピールした。
東京リスマチック株式会社
展示会ごとに、自社の商材を生かして工夫を凝らしたブースをデザインしている。今回は、Z世代への訴求というテーマに合わせて、渋谷の街角を思わせるブースをデザインして注目を集めた。
アニメキャラをイメージしたイラストや華やかな色彩で配したキーホルダー、缶バッジ、シール・ステッカーなど多彩なサンプルを配布。
また、間伐材や端材チップを主原料としたMDFアイテム、卵の殻を含むバイオマスプラスチックを使用した「ブラシェルファイル」なども展示し、脱プラスチックへの貢献をアピールした。
株式会社トラスト
「カーボンニュートラルを実現」をキャッチフレーズに、環境負荷低減に貢献する事業を紹介した。
卓上カレンダーの製造でカーボンオフセットを採用しており、CO2排出量4gをオフセットしているという。また、卓上カレンダーを綴じるリングに採用している「紙プラリング」は、紙を51%含有したバイオマスプラスチックを使用し、紙と同じく可燃ごみとして廃棄できる。
丸一興業株式会社 bolda事業部
什器製作に適した大判サイズの硬質紙ボード「boldaボード」で製作した什器や家具を展示した。
「boldaボード」は、原料に牛乳パックなど飲料容器古紙と長繊維古紙を使用した再生紙段ボール「ミルダン」(大和板紙)の強度、撥水性などを強化した素材である。
表面(ライナー)と中芯(フルート)とも白色であるため、デジタル印刷機で表面に直接印刷でき、デザイン性の高い什器の作成が可能。
ブースでは、テーブル・ひな壇などの大型の展示什器、自立式の店頭POP、コースターなどの小物まで、バリエーション豊かなサンプルを紹介していた。
株式会社YSC
ノベルティの企画制作をはじめとする販促支援事業を展開している同社は、現在は廃棄米を原料の一部に使用したバイオマスプラスチック「ライスレジン」を活用したノベルティ開発と、社会貢献事業に注力している。本展では、「広げようお米の“輪”」をテーマに、ライスレジン製のノベルティのサンプルを多数紹介した。
また、社会貢献の取り組みとして、福島県浪江町の耕作放棄地の復興、家庭では十分な食事が叶わない子供達を応援する「こども宅食応援団」などを紹介した。
以上、紹介できたのはごく一部である。
今後、リアル店舗のプロモーションやイベントが活発化していく中で、各社が顧客企業や消費者にどのような価値を提供していくのか、注目したい。
(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)