8月27日、全国48カ所（東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌の各会場および指定講座会場42校）で第26期DTPエキスパート認証試験を実施し、1677人が受験した。また、東京会場においてはクロスメディアエキスパート認証試験を同時開催し、115人が第2期合格者を目指し学科試験と論述試験に取り組んだ。
両試験における受験者属性の比較を中心に報告する。
受験者の顔ぶれ
既に13年間の歴史があるDTPエキスパートと、試験開始初年度で受験会場もまだ東京だけのクロスメディアエキスパートでは、1677人対115人とかなり受験人数に差がある。女性の比率もクロスメディアエキスパートでは10％に達しておらず非常に少ない。しかし、DTPエキスパートの第1〜2期（1994年）と、クロスメディアエキスパートの今年の2回の試験を比較すると、人数合計はDTP326人、クロスメディア319人とほぼ同規模で、女性受験比率も32人（9.8％）対25人（7.8％）と拮抗している。DTPエキスパートで女性の受験者が現在のように30％を超えたのは、4年目に入って7回目以降であった。
業種別では、DTPは基本的に印刷メディアをターゲットとしているため、印刷業界関連を中心に4つの業種で統計を取っており「印刷・製版」が67.8％、次いで非印刷関連企業・個人の19.4％である。一方、クロスメディアはさまざまな業界の参入があるため、10業種に分けているが、やはり「印刷」がトップで65.2％、2番目は「Webデザイン・制作」の12.2％となっている。本来、クロスメディアは「印刷」以外にもう少しばらけてしかるべきであるが、まだ他業種へのプロモーション・浸透が不十分であり、現状では、最も興味を示し、引き合いが多いのがDTPエキスパートの企業受験担当者であることもあり、このようになっていると思われる。
次に年齢別受験者で見てみると、DTPは20代の受験者が最も多く平均年齢は30.8歳だが、クロスメディアでは30代が多く平均年齢も36.4歳と、5歳以上高くなっている。両者とも受験資格は設けていないものの、クロスメディアエキスパートは対象の中心を「（デジタルメディアの）制作ディレクター」と位置付けており、「DTPエキスパート取得あるいは同レベルの知識があることが望ましい」としていることが実質的なハードルなり、比較すると年齢が高くなるのは必然であろう。
さて、両方とも印刷会社の受験が最も多いが、同じ印刷会社でも部門別で見ると大きく違う。DTPエキスパートは「グラフィックアーツにかかわる人たちの共通知識」と位置付けているように、プリプレス系41％、次いで営業系39％など総務関連部門を除き全域にわたっているが、クロスメディアエキスパートは職種を特定しているため、「メディア企画室」「プロモーション企画部」「ソリューション部」「マーケティング情報開発室」、あるいはそのものずばり「クロスメディア部」といった部署名が並び、企画・マルチメディア系や営業・マーケティング系に偏っている。
ちなみに、今回のクロスメディアエキスパート受験者でDTPエキスパート取得者は43.5％と半分以下で、受験対象の切り分けは明確になされている感じを受ける。
以上のような受験者属性は、既に定着したDTPエキスパートは安定的に推移しており大きな変化はもはや見られないが、クロスメディアエキスパートは、今後受験人数の拡大や前述のとおり他業界への広がりなどにより変化していくと考えている。例えばDTPエキスパートが指定講座制度による学校受験の拡大とともに大きく様変わりしてきたが、クロスメディアエキスパートにおいても受験対策講座が開講されていけば、女性受験者も増え、平均年齢ももう少し下がっていくであろう。
DTPエキスパート更新試験
前回の更新試験より、対象が6つの期に広がり、今回も2・6・10・14・18・22期DTPエキスパート2831人と過去最多人数となった。それでも更新を希望し、受験申請をしたのは2450人で、申請率は平均の85％を上回り86.5％であった。
試験問題は本試験の翌日（8月28日）に発送し、締め切り日9月20日までの約3週間の在宅受験である。更新試験では、前回の受験機会を今回に延期した人と、前回不合格となって今回再受験する人が168人いて、彼らを加えると実受験者数は2618人である。今年の本試験受験者数3108人に対し更新受験者数は4567人となり、約1.5倍となった。
なお、DTPエキスパート認証試験（更新試験）、クロスメディアエキスパート認証試験ともに10月30日に合否結果が出る予定である。
2006/10/18 00:00:00