製紙産業は大規模資本による大型装置産業として、近年は国境を越え生き残りを賭けたM&Aによってドラスティックな業界再編が進められてきた。工業化の進む中国の洋紙消費量は1996年に日本を抜き、10年前の2倍以上に達している。
原油価格は1バレル$60前後が常態化し、あらゆる産業の中でも最も重油消費の多いとされる製紙産業の経営に大きな影響を与えている。環境保護の観点から植林事業や古紙再生への対応優先度を高める努力も必要とされている。
一方国内でも製紙会社の合従連衡が進展、10数年前に約750社あった紙卸商は2005年において約560社となり、洋紙需給や流通構造を取り巻く環境は数年で大きく変化した。
国内の紙の消費量は、新聞用紙と塗工紙の伸びが大きく牽引、全体としては2年連続で増加、2004年には19,185千トンで2000年と同レベルに回復した。
洋紙市場やその動向を論じる場合、前述のようなマクロや構造的観点からフォーカスしていく視点が不可欠である。なぜならば、製紙産業はグローバル化の進展によってもはや日本市場も世界・アジア市場の一部と化して連動性を強め、その影響を免れることはできないからである。
今回のミーティングでは、まず欧州・北米の製紙産業動向、中国の動向のようなマクロ観点からアプローチする。その後、国内における各製紙会社の経営戦略、生産能力など需給や流通にフォーカスしながら、製紙産業と市場に関する最新動向と印刷産業へ与える影響などについて、昭和44年から紙パルプ産業の専門紙を発行する薬袋経済研究所の岸編集長にご解説いただく。
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