Web2.0にはいろいろな要素が含まれているので、一部関連した話題で我田引水してWeb2.0を称するものが多いが、Web2.0の多くの要素の「AND」が多くなるような考え方をしないと、Web2.0的ではなくなってしまって、単に「Web2.0の衣を借る1.0」になる。
販促にBlogやSNSなどCGMを活用しようという話も、今までマスメディアを使っていたような工業的大量生産物にあてはめようとすると、アンバランスなものになることがある。自社の商品の良い面を書き込んで欲しいことと、悪い面は書き込まれたくないために、書き手を操作してまでBlogやSNSを使うのは、どう考えてもCGMとは矛盾する。マスプロダクツはマスメディアで用が足りているはずだ。
多くの人が利用する商品やサービスは、専門分野のポータルサイトのようなもので十分に情報交換ができる。メーカーのOBとかコンサルタントなど専門知識を持ったプロ・セミプロ的な正確に評価できる人の出番である。こういったものを素人がBlogで適当にほめてアフィリエイトで稼ごうという下心の見えるものはWeb2.0とは関係なく見当違いだ。
素人の強みはマスメディアやマスプロダクツでないロングテールなところに発揮される。例えば旅は、昔から「地球の歩き方」シリーズが出版されていたように、素人の断片的な記録も貴重な情報源になる世界である。海外旅行の大衆化によってパッケージツアーが隆盛を極めたが、終始別行動で宿泊込みの方が航空券だけよりも安いという矛盾も見かけるほど、目的地での行動が企画できずに形骸化したものもある。
しかしBlogでは旅行者や観光地情報は活発に書き込まれていて、宿泊先も経路もチケットの購入も、ガイドさんとのコンタクトもネットでできるので、これらを複合して半自動・自動の旅行プランや旅行シミュレーションのサイトが作られる。自分の好きな行き先や旅の目的ごとにSNSができるようになるだろう。バラバラに存在する情報から、良い関係を創り出すのがWeb2.0の本来の姿ではないだろうか。
(クロスメディア研究会会報217号より)
2007/07/14 00:00:00