2006年に創業60周年を迎えた豊国印刷は、講談社、光文社の関連企業として、書籍、コミック、雑誌などの出版印刷活動を行っている。印刷物の制作だけでなく、電子出版・ネットワークビジネスまで、DTPによるコンテンツのデジタル化による制作業務を効率化・合理化すると同時に、新ビジネスをサポートしている。 同社で第3期クロスメディアエキスパート認証試験に合格した山崎征二氏と大竹好子氏にインタビューした。
――クロスメディアエキスパート試験を受けたきっかけをお話ください。
山崎 現在、私は総合企画部と大塚工場で書籍DTPグループの責任者を兼務しています。総合企画部では新規業務を軌道に乗せていく役割をする部署で、全社的な課題を見つけ、対策を講じていかなければなりません。そういった意味でこの試験が役立つのでは……と考えました。
大竹 書籍関連の営業をしています。いわゆる「外回り」といった仕事のほかに、営業部内の業務の効率化も推進しています。 デジタル化の進行でワークフローの見直しが求められています。今までのルールが使えなくなり、ルールの取りまとめや整理が必要となってきています。仕事の組み立て方を考えたり、業務のマニュアル化などやるべきことはたくさんあります。
山崎 従来は「印刷データを作る」とういうことをやっていればよかったのですが、最近は印刷データをベースにモバイル用にしたり、海外で出版するための変換をしてほしいといったリクエストが増えてきています。 会社としても「クロスメディアに対応していこう」をキーワードとするようになってきました。 ですが具体的にどう対応するのか、スタッフのスキルアップをどうすればいいのかといった課題が浮上してきました。そこでクロスメディアエキスパート試験を一つの目標としてチャレンジしてみようということになりました。
――試験勉強はどのようなことをなさっていましたか?
大竹 JAGATの通信教育講座「クロスメディア知識習得コース」を受講しました。それからカリキュラムの中から知らないキーワードを拾い出して調べたり、雑誌やサイトで話題になっている情報を積極的に取り込むようにしました。
普段の仕事の中で企画書を書く機会が少なかったので、試験前セミナーを受けましたが、このセミナーを受けたことで、顧客へ提案をするということについて「視点」と「ポイント」がだいぶ分かったような気がします。
試験を受けるまでは「こんなもの書いたことない」という方は私以外にもたくさんいるのではないかと思います。私はセミナーで、「書くため」の情報収集の仕方、「書く時」のポイントを教わりました。
試験勉強をしたことで、実際の仕事においても物事の状態を見て、問題点や課題を探すことの力になったと思います。
――試験を受けてみての印象はいかがでしたか?
山崎 学科試験も論述試験も時間が足りなかった印象があります。DTPエキスパート試験を受験したことがあるので、問題数の多さは予想していましたが、かなりのスピードでやらないと間に合いません。
特に論述試験は、書こうと思ったことが10あったとしても実際は10分の1しか書けませんでした。何をどうまとめていくか、何を書いて何を書かないか考えながら、ポイントだけにいかに絞るかが勝負です。
大竹 そうですね。とにかくペース配分に気をつけないと……。学科はマークシートなので分からない問題は思い切って飛ばしていきました。 論述試験は、いざ書くとなるとなかなか書けないので、練習する時も時間を120分に区切ると感覚がつかみやすいと思います。 それから、この試験はデジタル知識をもっているかいないかということだけではありません。コンサルティング的な要素があり、身に着けた知識をどう生かすかのバランス感覚が重要だと感じました。私の場合は受験したことがいい勉強、いい経験になりました。
――これから試験を受ける方に何かアドバイスがあればお願いいたします。
山崎 論述試験は、顧客の課題を聞き出し、解決策を導くといった実務を普段してない人は練習したほうがいいでしょう。 企画書の書き方などは書店にあるマニュアル本を参照しながら、架空の提案書を書いてみるのもいいと思います。それと普段から文章を書くこと、考えること自体に慣れておく必要があります。
大竹 カリキュラムのキーワードは調べたほうがいいと思います。
例えば、業界誌を読んだ時に言葉の意味が分かっていれば、記事を読み込めて記憶にとどめることができるし、それがまた知識になるという相乗効果を生むからです。勉強を始めたころはサッパリ訳が分からないとしても、後半になってそう感じてくるはずです。
過去の試験問題がほとんど公開されないクロスメディアエキスパートでは、地道に努力することも大切だと勉強していて感じました。毎日少しずつでもカリキュラムに書いてあることを調べていくことで、資格をとった後、または試験には合格しなくても自然と大きな力が身に着いているはずです。
(プリンターズサークル7月号 特集「顧客の課題を解決するメディア提案」より一部抜粋)
2007/07/30 00:00:00