TVコマーシャルを作りたい場合は広告代理店に依頼すれば、費用はかかるがそれなりの品質のものはできる。印刷物でもそれなりの品質を実現してくれることがあらかじめ分かっているところは多くある。ではWebの販促で一定の成果を求める場合はどこに相談するのがよいのだろうか? インターネットがマス広告としての雑誌を抜くほどの広告媒体になったにも関わらず、その作られ方とか評価方法についてはまだ曖昧である。
あいかわらずマスメディア広告がジリジリ下がる一方で、インターネットやケータイの広告は大きな伸びを示しているという統計もあるが、実際は最初は大雑把であったインターネット広告が細かく定義されていく中で、いろいろなビジネスを統計に取り込んでいったために実際よりも見かけ上で大きくなっているようにも思える。マスメディアのクライアントがネットの広告キャンペーンも手がけるようなところは把握がしやすいが、ロングテールのネット広告は非常に把握が難しいだろう。
なぜなら例えばGoogleの扱うテキスト広告はWeb経由で申し込んだり設定が可能なように依頼者が任意に営業マンレスで出せる広告であり、また仕組みとしても全世界共通の事業者もあるとか、小規模なWebサイトでは代理店を通さない広告やアフィリエイトも多いからだ。広告モデルも多様で、どこまでを広告の範疇に入れていいのか分からないことは続いていくだろう。
しかし統計としてのネット広告がどうであれ、ネットは広告以上の役割を増やしていき、その一部分ではECという異なるジャンルで成長をしていくだろう。ネット広告も既存の広告と同じようにブランドつくりとか顧客のロイヤリティ向上という使命はあるものの、既存の広告メディアをしのぐポテンシャルとして、コンシューマとの対話/参加型メディアや、ビジネスの基幹システムとの直結したコンテンツ送信などが話題になっている。
これらは情報の受信者も発信者も今までとは異なるメディアの扱い・接触・経験をするものであり、人々がメディアに関して新しいビヘイビアを獲得するに従って、メディアの役割も変化する。それはAmazonやGoogleなどで実証されていることで、新ビヘイビアが先で後からビジネスがついてくる。デジタルとネットのメディアは新しいビヘイビアを作り出せるところに大きなポテンシャルがあるし、それによってビジネスプロセスの見直しが起こる。
(クロスメディア研究会会報225号より)
2008/03/03 00:00:00