財務省の「貿易統計」によると、2006年の印刷物の輸入額は、前年比5.4%増加で1120億4700万円となりました。1990年代後半から印刷物の輸入は増え、東アジア、東南アジアからの輸入が増えていましたが、近年は経済成長を背景にした中国からの輸入額が大きく伸びています。理由は価格の安さを求めたもので、包装資材、事務用品が主体です。また、印刷技術向上によって商業印刷物も伸びてきましたが、その量は日本国内需要に対してわずかです。
今後も、低コストを求めて印刷需要の海外流出が懸念されますが、印刷産業の顧客である企業の工場が海外進出すれば、それに伴い包装印刷物(パッケージ、ラベルや取扱説明書、マニュアル)の製作を海外で行うこともあります。これは包装資材印刷物の利用のされ方から当然のことと言えるでしょう。しかし、完成品の印刷物輸入は短い納期と物流コストを考えると印刷産業全体としては、大きな問題とはならないでしょう。
一方、輸出額は前年比7.1%増の486億2000万円となりました。
印刷品目別に輸入額のシェア推移を見ると、はがき、カレンダー、宣伝印刷物などの商業印刷物は27.7%で、シェアはほぼ横ばいですが、金額では309億8400万円と前年より4.4%増加しました。トップは書籍で、そのシェアは前年より1.2ポイント下がり35.9%で、金額は401億7800万円で前年比1.8%増となりました。以下は、定期刊行物(新聞・雑誌など)が14.5%で162億5900万円(前年比5.9%増)、包装資材が13.0%で145億1900万円(同13.4%増)、事務用品(帳票、便せん、メモ帳、日記帳など)が9.0%で101億900万円(同12.5%増)と続きます。
包装資材、事務用品の伸びが目立ちますが、これらの輸入相手国としては中国が大きく伸びています。また中国は全品目で伸びており、国別輸入相手国でもほかのアジア諸国を大きく引き離しています。
輸出については書籍がシェア25.3%で前年比0.3ポイント増、包装資材28.7%と同2.2ポイント減、定期刊行物は9.4%で同0.7%減、商業印刷物が34.9%で同2.8ポイント増となりました。
2008/05/07 00:00:00