多くのWebサイトは販促媒体としての機能に加えてオンラインショップとしての機能をも有するようになっている。しかしWeb上で実際に受注に至るのは、カタログや店舗、対面によるものと比べるとまだわずかであり、売り上げに結び付くECサイト・機能には何かしらの工夫と方法が必要といえる。クロスメディア研究会では、ECサイト構築における重要なファクターとは何かをソフトクリエイトの根立兼一氏にお話いただいた。
総務省「平成18年通信利用動向調査」によると、パソコンでのインターネット利用率は、20〜40代の世代で約9割となっている。利用頻度を見ると、20代〜40代の約5割が「毎日利用している」と回答しており、この世代では既にインターネットが身近な存在となっていることが分かる。 またインターネットの利用目的としては、「商品・サービスの購入・取引」と41.4%の人が答えており、Web上で商品を購入することに対しての抵抗がなくなってきていることがうかがえる。
そうなってくると、Webサイト制作者が今後取り組むべきところは、若年層や高齢者を問わず、だれでも分かりやすく使いやすいサイトを作ることである。買い物かごのアイコンを大きくしただけで、購入率が上がったという事例もある。従って、画面の文字を大きくするだけでもECサイトの購入率が変わる可能性もある。
ネットショッピングにおいては、ユーザーがある商品について詳細情報の検索や比較を行うため、それら購買行動モデルに沿ってECサイトを考える必要がある。 AISAS(アイサス理論)では、Attention(注意)→Interest(興味喚起)→Search(比較・検討)→Action(購入)→Share(体験の拡散)の5つのプロセスから成り立つとしている。
まず「Attention=注意」は、どうやってユーザーに自分たちのサイトを見てもらうかということである。昔、まだECサイトが広く普及していない時期なら、URLを「http://〜」と書いてあってもユーザーがキーボードでたたいて訪問してくれる可能性があったが、今はサイトが乱立しているので、サイトにどう注意を集めるかということが大切である。実際、インターネットを使うユーザーが商品を探す際には、8割以上が検索窓を使うと言われるため、検索エンジン周りの対策が大切である。
次に、「Interest=興味喚起」が必要とある。自分たちのサイトに誘導した後、ユーザーをどう面白がらせるかという問題がある。Webサイトのデザインが良くなかったり、なかなか商品にたどり着けなかったりすると、「もういいや」と思ってしまう。そして1回嫌だと思ったらもう同じサイトへは行かない。 よくユーザビリティと言われるが、どこまでユーザーに使いやすく、見やすくさせているか、例えばCDというキーワードで検索をしたら、CDをきちんと見せることが大切である。 そして、何よりも大切なことは「Share=体験の拡散」である。つまり、ファンを作るということである。
クライアントの中には、年間1000万から2000万円も広告費を掛ける企業もある。しかし、何より一番世の中で強い広告は口コミである。 自分の友達から「この商品良かったよ」とか「このサイトが良かったよ」と言われれば、だれしも必ず一度は訪問する。そのように言えるということは、そのユーザーがそのサイトのファンであるということである。ファンを作ることもとても大切である。
(『Jagat info』2008年5月号より一部抜粋・詳細はクロスメディア研究会 会報『VEHICLE』228号に掲載予定)
2008/05/27 00:00:00