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「外なる生産性向上」と「内なる生産性向上」(JDFとのかかわり)

印刷の生産性(プロダクティビティ)の向上を機械設備に頼る時代が終わりつつあり、PAGE2003コンファレンス・プロダクティビティトラックでは、ビジネススタイルの再構築による生産性向上策もテーマに取り上げている。
「外なる生産性」とは、顧客と印刷会社のビジネスの境界線を変えることによって生産性の向上を図ろうというものである。今までのように原稿作成と校正が顧客の分担、制作印刷が印刷会社の分担のままではDTPや印刷技術が平準化してきた現在、印刷会社の競合他社との納期と価格競争に陥ってしまう。
内なる生産性とは、印刷会社自身や同業他社など業界の内側での生産性向上へのアプローチであり、オープンなデジタル情報交換ルールとしてのJDFが貢献するかもしれない。

外なる生産性(その1)は、これからは顧客の本来業務までを責任を持って役割分担したり、印刷に拘らないビジネスサポートを行い、顧客が生産性向上を図れるて印刷側も金になるようなビジネススタイルの模索についてがテーマである。 従来から出版社などの編集部にDTP要員を出向させたり、顧客企業内にコピーセンターを設置運営したりは行なわれていたが繁閑調整の課題もあるが、このような出向は印刷会社の都合による面が強い。 C3セッション「発注側サイトとのコラボレーション」(2月6日15:00-17:00)では、新たな「企業内常駐サービス」へのアプローチとして、ビジネスの仕切り線をもっと顧客に入り込ませた結果、そこで何が得られたのか、また今後の方向性などについて、印刷会社、印刷サービス、企業内ビジネスサービスを行なってきた3社(不二印刷 井戸様、デジタルパレット 星名様、三洋電機ビジネスブティック 大木様)から、経験や見解をお話しいただく。

外なる生産性(その2)では、インターネットを積極的に使用して、企画、開発、制作、印刷会社など多くのメンバーが関わるデザイン制作プロセスの新ワークフローの構築と効果は? デザイン開発段階でのデータを一元的に管理、確認・受け渡しを効率化する「協働サーバシステム」構築により、フットワークからネットワークへどのように移行しどのような並行作業ができ、どんな効果があったか? さらに、国内・海外国内・海外ネットワークで結んで企業間コラボレーシを実現してた経験から、ユーザー・各業者間データ送受信は高速安全が必須であるというがデータの送付・送信方法、データ保管・運用などの課題。そして印刷会社がどう顧客側企業とのコラボレーションを実現し、どのような壁を乗り越えてきたのかをユーザー側3社(エイボンプロダクツ様、アイ企画様、大日本印刷様)から伺い、ベンダーとして方正の芦野氏からシステム提案を頂くのが、C2セッション「ネットワークによるコンカレント作業」(2月6日12:00-14:00)である。

内なる生産性(その1)は、印刷会社自身や同業他社など業界の内側での生産性向上へのアプローチである。現在の行き詰まった都市部における印刷環境、自社内のデジタル化による効果は限界に、どこでも同じ設備、やり方、コスト、時間、そして設備投資した結果は「自社のみ最適」だった? という文祥堂印刷 吉川様の問題提起から始まる。 CTP、DDCP、CMSの普及により自社内のシステムが「外へ出て行く」時期にきており、デジタルが会社の外に飛び出すにはオープンシステム構築が重要であるが、JDFはどう位置付けられるか、何がどこまでできるのか?(吉川様)。さらに既存の業務システムとJDFの関係は?(ニシカワ 西川様)などの疑問に、プリプレス側から、デンマークのアートワーカー社からカーライン氏とサカタインクス堀本氏、大日本スクリーン深見氏の各氏に応えて頂くのが、C1セッション「CTPの相互運用性とJDFの可能性」(2月6日9:00-11:00)である。

内なる生産性(その2)は、印刷および後加工におけるJDF/CIP4で実用普及している印刷機のインキキープリセットの有効性と課題は? さらに次の折り機や製本機など後加工機への利用は,どのような条件が整えば普及していくのか? JDFが印刷加工工程のプロダクティビティの向上にどのように貢献するのか? がテーマである。ユーザー側として、CIP3によるオフセット印刷機のインキキーのプリセットなどの仕様経験豊富な、壮光舎印刷(堀様)、大平印刷(本田様)から現状と効果、そして後加工機への展開の期待をお聞きしてから、ハイデルベルグ・ジャパンの武口氏からベンダーとしての提案を頂くのが、C6セッション「JDF/CIP4による印刷プロダクティビティ向上(」(2月7日15:00-17:00)である。

PAGE2003コンファレンス・プロダクティビティトラック


JDF(Job Definition Format)とは
JDFとは人間も機械も読める電子伝票であり,MISや工程管理などのマネジメントシステムと生産機器の情報伝達を双方向で行うための業界標準フォーマットであって,生産工程の省人処理・自動処理など工場のFA化,CIM化を実現できる可能性を秘めている。

(1)CIP4(規格制定団体)から2001年4月に仕様第1版が発表された。
・JDF=PJTF+ PPF+α
(PJTF(ポータブルジョブチケットフォーマット)/アドビ
・プリプレス側の電子伝票による自動化の仕組み)
・印刷物制作・製造の全工程を包括的に記述し、管理・制御することを目標とするフォーマット
・PPFから大幅に拡張されたJDFは機械とのデータ双方向性を持つ
・後でのプリセット値などのパラメータ変更ができる(XML記述の特徴)
・稼働率計などからの実績データ取得も可能に(実績データ集計)

(2)CIP3が策定したのがPPF(1995年に仕様第1版が発表)
・印刷機・後加工機のプリセット化の仕組み
・後でのパラメータ変更や実績データ取得はできない(PostScriptに記述されているので情報は一方通行で変更不可)

PPF(CIP3)とJDF(CIP4)について
(大日本印刷 石井様 drupa2000報告/JAGATより)



PPFの基本構造(枚葉印刷)


*:製品定義がある場合、枚葉が複数の場合に必要
**:枚葉が複数の場合のみMust

JDFワークフローの機能要素概念
・JDFは印刷の全工程をある程度カバー
・製品仕様の記述オプションがPPFより充実
・製造の各工程が網羅的に定義
・プリプレス28種、印刷3種、印刷後工程44種の個別工程についきパラメータを定義
・一般業務もある程度定義
・承認、検収、包装、発送、滞留、人手業務など
・JDFに含まれないのは:見積り/受発注/支払い請求など

2003/01/27 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会