PAGEコンファレンス「変わる流通と電子カタログビジネス」セッションでは、流通業界が進める業界標準の商品データベースの運用について取り上げながら、流通業界と関わっていく印刷業にとって紙のチラシの作成だけではなく、電子カタログビジネスとしてどのようなビジネス展開を行っていけるのかを取り上げた。
パネラーは、日用雑貨化粧品業界でいち早く標準データベース構築を行っているプラネット(Planet)に関わってきているメーカとして花王株式会社情報システム部門の中村善明氏、Planetの標準データベースのデータベース仕様に関わってこられた株式会社エージェントエクジェクティブコンサルタントの森田和義氏、業界横断型の商品データベース構築ツールを開発しているeBASE株式会社代表取締役社長の常包浩司氏の3名で行った。
現在いろいろな業界で業界標準データベースの構築が行われており、EDIのためのベースになりつつある。その中で商品検索や小売の棚管理などを支援するための商品画像データベースも標準化されつつある。
このような動きの中で、日用雑貨化粧品業界では、プランネットの商品データベースが構築されつつあり、この中には棚割画像だけでなく、チラシに利用できる商品画像データの標準化が進められている。
商品画像はメーカが撮影して標準データベースにアップするわけだが、商品画像データベースの構築が進んでいる花王のようなメーカは、この業界でも多くはない。そのため商品画像をアップできるメーカもいるが、まだアップできないメーカもいるのが現状である。
また各メーカにはどこかの印刷会社が必ず絡んでいるはずであり、商品画像の撮影やデータベース構築を支援できれば大きく標準化が進むと思われる。ただ商品画像の仕様は統一されていないとチラシには利用できないので、仕様についてはプラネットの方で統一仕様を作成しそれに合わせた画像を作成しアップをするような流れにはなる。
また小売業でチラシを作る時に印刷会社へ依頼するが、今商品画像をそれぞれ別に撮影をしている分を標準画像をダウンロードして利用する方向に進めば、流通業ではツール制作の合理化が進むし、メーカでも商品原稿管理負荷の大幅な軽減とデュープ代のコスト削減につながる。
データベース化を推進するためには、主要メーカの画像登録が必須であり適切な画像品質にすることで、印刷会社の補正作業やネットワークに負荷をかけない適切なデータ容量にすることができる。オーバー仕様はデータ量を増やしネットワークの負荷になる。そしてこのような環境の実現には、CMS(カラーマネージメント)は不可欠であり、このようなことを考えても印刷業に期待するとろである。
しかし日用雑貨化粧品業界だけが標準データベースを進めても、実際チラシを作成するには他の商品の画像がデータベース化されいないと作業の流れが異なってしまい、その結果手間が増え実際には普及しないことになる。そのため他の業界も商品画像のデータベース化を進める必要がある。
今eBASEの展開として、商品画像情報の交換を業界ごとに推進しているが、日用雑貨化粧品業界のPlanet以外では、加工食品業界の食品卸プライベートEDI、ギフト業界のGiftNET、文具業界のDistNETなどが展開を始めている。
このような展開を進めていく中で、結局誰がメーカの商品画像のデータベースを構築するかという問題があり、そのためには印刷業界が絡んでくる必要がある。このような画像データベース構築の支援と言う点で印刷業のビジネスとして期待できるエリアである。
さらに、今後は業界標準のための商品画像データベースだけではなく、メーカや卸業者の販促支援のためのプライベートなデータベースも必要になる。特にEDIが進み商談がネットワーク上で行われる方向にあるので、そのための電子カタログビジネスも印刷業の手助けが必要になる分野である。
印刷物作成だけではなく、これからはデジタルメディアへの展開が不可欠であり、そのためには、電子カタログだけではなく、いろいろなプレゼンテーション機能も要求されてくる。
(株)エージェントで展開しようとしているデジタルメディアは、印刷物を制作した情報をそのままデジタルメディアで、尚かつ人が操作しやすいナビゲーション機能を持った、電子書籍であり電子カタログのためのツールとして提供している。
今、デジタルメディアでは文字や静止画だけでなく、動画や音声を含めて人が見易く操作しやすく目的の情報にたどり着けるナビゲーションが求めれるている。
そこでは、今まで印刷業が紙のデザインで養ってきた情報を見易すくする技術は当然もとめられる。
今までの単なるWeb技術だけでは、見易い情報の作成やナビゲーション機能にも問題があった。さらに印刷業の情報を見易く配置する技術も生かせないところである。
これから出てくるいろいろなナビゲーションのアプリケーションを活用することで、印刷業が得意とする電子書籍のような電子カタログなどの展開も可能になる。
電子カタログという視点では、業界標準データベースを活用したEDIを支援する部分から小売業がエンドユーザに商品を販売していくための支援ツールというエリアまでいろないろな利用エリアがある。
しかも紙を利用しないデジタルコンテンツとしての利用が大きく求められていくなかで、印刷業はどのポイントでビジネスを展開すべきかがある。今メーカも含めて流通では、商品画像を含めてデジタル化を進めるパートナーが必要とされている。そこには印刷業が得意とする技術も含まれているし、他の業界では難しい技術も含まれている。この点を考えながら、メーカや小売業へのビジネス提案や流通が進めている標準化の支援をすることがビジネスの可能性として出てきている。
2004/02/23 00:00:00