景気低迷,デフレの長期化などで企業間競争は厳しくなっています。特に製造業は低コストと市場の近くでの生産ということから海外生産が進んでいます。
経済産業省「平成14年工業統計表 産業編(概要版)」によれば,全製造業の事業所数(従業員4人以上)は,2002年は29万848社で,前年比8.0%の減少となりました。1992年は41万5112社ですから,10年間で12万社以上が減少(減少率29.9%)しました。従業員4人以上の印刷業は,2002年は1万4842社で前年比4.6%の減少となりました。10年では,1992年の1万8576社から約2割(20.1%)減少しました。これは,景気低迷による売り上げの減少と競争の激化,プリプレスの付加価値の減少など,印刷業の収益構造の変化,インターネットの普及などによるメディアの多様化,ビジネス環境の変化や技術革新への対応の遅れによる廃業・倒産などが要因と考えられます。しかし,製造業全般では海外へ生産拠点が移った業界も多く全製造業に占める印刷業(従業員4人以上)の割合は,1992年の4.5%から2002年は5.1%と高くなっています。
なお,工業統計調査は西暦の末尾が0,3,5,8の年は全数調査となり,それ以外の年は従業員4人以上となります。2000年の全数調査では印刷業が3万460社,製版会社は4218社となっています。
従業員4人以上の製版業の企業数は,2002年が1878社で前年比12.9%の減少となりました。1992年の3697社から,この10年では42.9%減とほぼ半分になりました。これはDTP化の進展が原因と考えられ,今後デジタルカメラからの入稿が増えると予想されているので,一層製版会社には厳しい環境になるものと予想されます。
従業員4人以上の製本業は,2002年は1557社で,前年比で7.8%減少しました。10年前と比較すると19.6%の減少となっています。製版会社に比べるとデジタル技術の影響は少ない分野ですが,印刷産業と密接に関係する業界故に印刷業の不振が影響したこと,また,市場が減少傾向にある出版業の不振なども原因と考えられます。
印刷産業全体では(従業員4人以上)2002年は1万9493社で,前年より5.8%減少しました。10年前の1992年の2万8107社に比べて30.6%の減少となりました。印刷業の規模別構成比(2001年)を見ると,20人未満の企業で88.0%を占め,300人以上はわずか0.4%で中小主体となっています。
(プリンターズサークル 2004年4月号より)
2004/04/02 00:00:00