財務省の「貿易統計」によると,2002年の印刷物の輸入額は,前年比0.2%減で1016億円でほぼ横ばいとなりました。
かつて典型的な内需型産業と言われた印刷業ですが,通信技術の発達やインフラの充実,生産技術の発達で,国境の枠を超えた印刷物制作が可能になっています。このほかに低コストを求めて印刷需要の海外流出が懸念されますが,印刷産業の顧客である企業の工場が海外進出すれば,それに伴い包装印刷物(パッケージ,ラベルや取扱説明書,マニュアル)の印刷発注は海外に流れるということがあります。これは包装資材印刷物の利用のされ方から当然のことと言えるでしょう。
一方,輸出額は前年比29.4%減の428億8000万円となっています。減少傾向が続いていますが,近年,包装資材印刷物が増加傾向にあります。
印刷品目別に輸入額のシェア推移を見ると,はがき,カレンダー,宣伝印刷物などの商業印刷物は26.9%で,前年より1.2ポイントの下落となりました。金額では273億7100万円となっています。トップは2年連続で書籍で,そのシェアは前年より2.7ポイント増加し,44.4%となりました。金額では,451億600万円で前年比6.4%増加しました。以下は,定期刊行物(新聞・雑誌など)が15.6%で158億9500万円(前年比16.9%減),包装資材が7.6%で77億2500万円(同9.5%増)と続きます。
輸出については,書籍がシェア32.7%で前年比0.7ポイント増,包装資材31.6%と同0.6ポイント増加しました。定期刊行物は10.0%で同0.6%増,商業印刷物が24.0%で同1.8ポイント減となりました。輸出全体では前年費マイナスのため書籍,包装資材ともシェアを上げたとはいえ,金額的にはそれぞれ3.0%減(140億3700万円),4.5%減(135億4400万円)となっています。
輸入相手国として包装資材印刷が中国,韓国,アメリカが上位3カ国です。書籍はアメリカ,イギリス,シンガポール,雑誌など定期刊行物はアメリカ,イギリス,オランダ,商業印刷物はアメリカ,中国,ドイツが上位3カ国です。近年,中国経済発展に伴い中国からの輸入が伸びているのが目立ちます。
(プリンターズサークル 2004年4月号より)
2004/04/23 00:00:00