日本製紙連合会の調査発表によると,2002年の紙・板紙の消費量(国内出荷+輸入±流通在庫増減分等)は,前年比1.3%減の3113万トンとなり,2年連続のマイナスとなりました。
紙・板紙は,需要別に大きく印刷・情報用,包装・加工用,衛生用の3つに分けられます。印刷・情報用とは印刷に使用する塗工紙・非塗工紙,新聞用紙などです。包装・加工用には紙器や段ボール用の板紙などを含みます。衛生用とはトイレットペーパーやテッシュペーパーなどです。
消費量が減少した理由としては,景気低迷がありますが,印刷・情報用では広告需要の減少,IT関連不振によるカタログやマニュアルなどの需要減,出版業界の不振などが考えられます。包装・加工用では,ユーザ業界の海外移転やほかの包装資材との競合などが影響したと考えられます。デジタル化の進展で紙需要の減少も予想されましたが,あまり大きな影響はなく,現状では景気動向に左右されていると言えます。しかし,インターネットの普及率が高まり情報入手やショッピングなど活用が多様化することや,よりデジタル化が進展することにより,紙・板紙の需要が今後大きく伸びる要因は少ないものと予想されます。
10年間の需要構造の変化を見ると,1992年は包装・加工用が49.5%,印刷・情報用が45.3%,衛生用が5.1%で,包装・加工用が需要のほぼ半数を占めていましたが,2001年には印刷・情報用が48.8%,包装・加工用が45.8%,衛生用が5.4%で,年々印刷・情報用の割合が高くなっています。
「図表:紙・パルプ統計2003年版」によると2002年の国別の紙・板紙消費量は,米国が飛び抜けて多く8816万トン,以下中国,日本,ドイツ,イギリス,イタリア,フランスと続きます。国民1人当たりの紙・板紙消費量で見ると,トップが米国314.2kgで,次がカナダ244.3kg,3番目が日本241.1kgとなり,上位には先進国が並びます。近年,環境意識の高まりで資源の有効利用が求められていますが,国別の古紙利用率は,韓国が74.6%でトップ,以下ドイツ(65.0%),日本(59.6%),フランス(58.2%),イタリア(56.0%)が5割を超えています。
(プリンターズサークル 2004年4月号より)
2004/04/30 00:00:00