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drupa2004デュッセルドルフ報告(1)

第13回メディアメッセ「drupa2004」はドイツ・デュッセルドルフで2004年5月6日から19日の14日間の会期で、出展者数2000社(前回1943社)で開催されている。会期前半は雨と寒さにたたられてのスタートとなった。

印刷は成熟産業であるとともに、生産技術も既に成熟技術で成り立っている。このことを反映してか、drupa2004で各社から発表されているものは、今まで見たこともないような画期的なものは無くなった。新技術や参考出品といっても、以前にどこか別のところで似たような開発があったなと思い出せるようになってしまった。drupaで発表されている新製品や新技術は、一言で言うと「本気で自動化するための機械やシステムのチューンアップ」と言える。ある人は生産工程の「ボトルネックを無くす」開発だとも言う。

このチューンアップとは、JDFが目指している自動化に本気で取り組もうとするときには、非常に重要になってくる。CIP4/JDFの最終目標は自動化であり無人化でもある。しかしCIP3/PPFの経験から、前工程で作成したパラメータでプリセットしても、微調整の職人技がどうしても必要。プリセットなんて、所詮「大雑把なもの」と理解されてきただろう。機械が今のままでは、何時まで経っても自動化なんて実現できっこない。

ここに気づいたメーカーでは、職人が微調整する余地を残さない高レベルの自動化を目指して機械が対応できるような開発を始めていた。ハイデルベルグのSpeedmaster XL105Lは、基本設計を一からやり直し12年をかけて開発された。いかにもダイナミックバランスの取れた運転音で18000枚/時を安定して印刷できる、紙幅の広さも基本性能の一つとして薄紙から厚紙までに対応させている。実用には速度に対応できるインキ安定供給が必要になるなど解決すべきこともあり、国内での販売はこれらの準備を待ってから行われるだろう。ローランド500(59x74cm)も機械駆動にはギアドライブに加えシャフトドライブの併用で、1mmまでの厚紙を18000枚/時で印刷する。

小森コーポレーションでも枚葉機のニューリスロン28Pやオフ輪システム38Sなど8台の印刷機を出展して、段取り替えの速さやDoNetによるCIP4/JDF活用をアピールするとともに、厚紙印刷、紙幣・証券印刷など幅広い印刷技術を紹介している。 欧米で需要のある大サイズ印刷機では、マン・ローランドの900XXL(130×185cm)やKBAのRapidaラピーダ205(151×205cm、ユニット展示)などは圧巻である。

三菱重工業からは、意欲的な二つの開発が発表された。DIAMOND 16MAX-V(国内向け:LITHOPIA MAX BT2に相当) というバリアブルオフセット輪転印刷機と、PRS-X1(機側製版装置)という、アルミ板を使わずにスリーブ方式で抜き取った版胴に直接、プリマー塗布→イメージング→(印刷)→クーニング→再利用する、リ・ユーザブル・プレート技術の発表である。

先輩格にはマン・ローランドのDICOweb(ダイコウエブ)があるが、巻取りBB方式、紙幅520〜300mm、カットオフ長は可変、印刷速度3.5m/秒、2万枚/時/カットオフ630mm、印刷ユニットは最大6台まで、切替え8分、耐刷3万通し、3200dpi、イメージング830nm、版基材は繰り返し使用可、ヒートセット/コールドセット仕様の二種類で500部から30,000部の市場に向けて開発され、実用になり始めている。

DI印刷機はKBAでは74カラットに加えて46カラットを新たに発表した。大日本スクリーンでは開発としては3機種目となるトゥループレス344(2ユニットによる4色機)を発表した、基本的な機構はハマダ印刷機械との開発であり、DI用のCTPプレートには機上現像による現像レスを実現したコニカミノルタのシンプルプレートが採用されている。

デジタル印刷 常連組のザイコン、HPインディゴ、ニプソン、コダックバーサマーク(旧サイテックスデジタルプリント)などに、前回から規模を拡大してきたゼロックス、オセ、ハイデルとのジョイントベンチャーだったが完全にコダックに移管されたネックスプレス、デジマスター、そして新たに力を入れて参入してきた、キヤノン、エプソン、オキなどが目立っている。

しかし、HPインディゴのプレゼンには少々がっかりさせられた。というのは、DRUPA95の時からいつも全く同じ設定である。まず来場者の顔写真をデジカメで撮った後で大仰なプレゼンを劇場仕立ての会場で見せ、その間に舞台裏で大車輪でサンプルを製作し、帰りには本人の顔写真と名前が入った手提げ袋に同じような何枚ものパーソナライズサンプルを入れて渡すという趣向である。親元がHPになったが9年の歳月とは何だったのだろう。

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つづく(2004.5.9:JAGAT 相馬謙一)

2004/05/10 00:00:00


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