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drupa2004デュッセルドルフ報告(2)

drupa2004の出展社数は公式には1862社となり前回よりも81社減となり、ドイツ国内からは707社、海外が1155社で、展示面積は少し増えて16万平米と広大である。

今回はJDFドルッパといわれるが、印刷が成熟した生産技術であると言っても、現実の印刷工程を見るとたくさんのムダがある。このムダをIT技術と管理技術によって如何に削減していくのかが大きな課題となってきた。つまり生産工程をコンピュータで全体最適の状況にしていくというCIM化の方向である。そしてこれに必要なのが「標準化と自動化と正確な実績把握」である。

CIP4/JDFに注目しなければならない視点とは、生産性向上を機械設備だけに頼る時代の終わり、単体機械でビジネスをする時代からどう脱皮するのかである。単にプリプレスと印刷を結ぶだけでなく、ITネットワークによるムダにないコミュニケーションのフレームワークを、顧客や協力先のまでもを取り込んだ上で、新たなビジネスモデルとして構築できることが成否を分けるようになるだろう。

こう書くと、印刷会社はそれぞれの生産管理を行っている現状ではJDFで工程管理の、たとえ一部であっても標準化などできない、という現場の声が聞こえてくる。それならば仕事を限定した中で、JDFを利用するというのはどうだろう。PODのようなオンデマンド印刷は営業経費の割には単品売上が小さくて営業に力が入らないということは良くある話だ。これに対してdrupaでは、EFI、オセ、エスコグラフィックスなどから「スモールビジネスにJDFを使う」という提案が出ている。オセのPRISMAQワークフローマネージメントは印刷会社だけでなく、ロットの大きな企業内印刷のユーザーをも市場に考えている。 クレオのJDFに対応した新しいプリナジーではCTP/オフセット印刷にするのか,ゼロックスはDocuColorでデジタル印刷するのかを下版直前まで区別することなく進捗できる。 プリプレスの大手ベンダー各社にPostScript互換RIPのハーレークインRIP関連製品をOEM供給しているグローバスグラフィックス社でも今までの原稿袋を「JDF+PDF/X」に置き換えることによって、小規模企業でも大規模企業に対抗できるコストを提供できるとしている。

ドルッパではCIP4/JDF関連の3つの大きなグループ展示がある。いずれもがCIP4メンバーでもあるが、一つ目はCIP4自身が運営するPDFパーク(4号館:A33)で、20社のベンダーのJDF対応製品が集まっているだけでなく、パーク内ではLAN接続されているので、あるベンダーから別のベンダーへのデータ転送など互換性のデモを見ることもできる。パーク内の出展者はAdobe、Agfa-Gevaert、Creo、Dainippon Screen、Dalim Software、EFI、Enfocus Software、Esko-Graphics、Global Graphics Software、Heidelberger Druckmaschinen AG、HIFLEX GmbH、LithoTechnics Pty. Ltd、MAN Roland、NovaVision Software A/S、 Oce、Optichrome Computer Sytems、ppi Meida、Tharstern Limited、Vio Worldwide、Wam!netである。 また、ブースではJDFロードマップという55社のCIP4ベンダーの出展場所とJDF関連製品名の入ってマップがもらえる。

二つ目はNGP(Networked Graphic Production)グループで、NGPパビリオン(4号館:B22)でパートナーが40以上のJDFによるシステムインテグレーションの、実用化されているもの、開発段階にあるものも含め、ソリューションを紹介している。JDF対応製品の実演コーナーでは毎日制作発行されるdrupaのHotTopicなどの記事掲載誌「NGP Drupa Daily」の制作を見ることも出来る。クレオ、三菱重工、ローランド、リョービ、ゼロックスなども参加している。

PrintCityグループは6号館のほぼ半分を使って、各社の出展ブースを横断幕で囲う形で展示している。CIP4メンバーであることは当然であるが、様々なベンダーが提供するデジタルプロダクションシステムを統合し,出版印刷(新聞及び雑誌),商業印刷,パッケージ印刷,という3つの生産環境を再現し,継ぎ目の無いワークフローの可能性の全てをデモンストレーションにて紹介している。入り口でビジターズガイドという24ページの小冊子を受け取って見学する。様々なベンダーが提供するデジタルプロダクションシステムを統合し,出版印刷(新聞及び雑誌),商業印刷,パッケージ印刷,という3つの生産環境を再現し,継ぎ目の無いワークフローの可能性の全てをデモンストレーションを見ることができる。

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報告セミナー(6/24 13:00-17:00)

つづく(2004.5.9:JAGAT 相馬謙一)

2004/05/11 00:00:00


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