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drupa2004デュッセルドルフ報告(3)

今回のドルッパは会期半ばとなっても寒い日が続いていおり、弱い雨がまた降りはじめた。しかし会場は連日たくさんに見学者を熱気に包まれている。今回はPrintCityについて報告する。


6号館のPrintCity


drupa2000から活動を始めたPrintCityでは、アグフア、マン・ローランドなど現在60社以上のベンダーがJDFによる相互利用でアライアンスを組んでいる。ドルッパのではアライアンス企業が結集している6号館で相互にJDFワークフローが流れるこをを実際に見ることができるようになっていた。PrintCityの全体が見渡せる2階に置かれた「インテグレーションセンター」に、受付で名前を登録してID番号をもらい、商印・輪転・パッケージから見たいコースを一つ選んでセンターに上がっていく。今回は商印コースを選んでみた。センターにはマネージメントごとにサイトがあり、見積り受注から加工までを順番にソフト的な部分のデモを見ることができた。


インテグレーションセンター


1つ目は「MIS(見積もり・受注・請求など)」サイトで、既に印刷発注者として先ほど受付で登録した名前とID番号が、画面上に受注番号となって表示されていた。このサイトはOCSL社のオプティマス2000ソフトによって、印刷物の仕様を細かく入力して見積りを作成し、印刷発注の指示となる。印刷会社においては営業の入力業務になるだろう。入力作業によってJDFファイルが作られていて、次の予定組みサイトにネットワークされていく。
なお、請求時点では実作業の中で変更されて金額も変わってくるが、これについては実作業の時に後工程サイトから返送されてくる作業実績に基づくJMFファイル(JDFの一部を切り出したようなファイル)を受け取って、金額の修正を掛けるようになっている。

2つ目は「予定組み」サイトである。MISサイトから送られてきた受注のJDFファイルはppiメディア社の「ジョブプラン」によって予定組みが行なわれる。MISから受け取ったJDFと、このサイトが持っているプロダクションテンプレートと呼ばれる工場にある機械のサイズや色数などの仕様をもとにして、作業ステップと予定時間を組んでいく。ここでもMISから来た希望納期に合わなければ、JFMでMISに納期変更を返すこともできる。

3つ目は「稼動状況と完了報告」サイトで、ppiメディア社の「ジョブトラック」が生産機器の稼動状況と完了報告を一定時間ごとにまたは段取りが変わるごとに生産機械が自動生成してくるJMFをネットワークから集めて、工場全体状況を把握する。従って、オペレータは完了報告などをする必要が無くなる。このサイトによって、工程管理部門では生産が手に取るように分かるようになり、さらにJMFをMISに返送することによって、いつでも実際コストなどを把握することも可能になる。

4つ目は「ページデータのやり取りと確認」サイトで、アグフアの「デラーノ・パブリッシャ」がJDFによってページの入稿確認、PDF変換、プリフライト管理、校正と校了、CTPなどへの出力を行う。これによって、社内だけでなく社外の顧客や協力先との均一なコラボレーションを実現することで、ミスの削減につなげることができる。

5つ目は「リモート校正」サイトで、グローバルグラフィックス社の「ハーレクインRIP」がJDFを読み込んで、校正出力用のRIP処理、確認、面付出力、OPI処理、トラッピング処理、CMS、スクリーニング、校正出力などを行う。

6つ目はCTPなどへの出力用の「面付け・RIP・校正・刷版」サイトで、アグフアの「アポジーX」がJDFを読み込んで、製版から出力までの処理を自動で行う。自動化することによって、エラーは時間を削減できるという。

7つ目は「刷版」サイトで、ppiメディア社の「OM」がプリプレスから受け取ったデータから、付け合せ、RIP、校正、CTPなどへ出力、インキキープリセットデータの計算などを行う。このシステムは6つ目と似ているが拡張性、自動化、分散処理などの点で大規模向けであるという。

8つ目は「印刷管理とプリセット」サイトで、マンローランドの「PECOM印刷管理システム」がJDFとこれにリンクされているPPFも読み込んで、印刷機のプリセットを行う。枚葉機ではルールベースによるその他の細かな機械セッティングを、オフ輪では用紙や折り機のセットなどまでを高度なアルゴリズムでコントロールする。
また、機械の稼動状況をJMFやそれと同等のファイル形式で把握し記録する。

9つ目は製本工程で、MBOの折り機では「MBOデータマネージャ」が、製本機ではウォールンベルグの「バインド−コム」が、中綴じ機ではミュラーマルティーニの「ジョブエクスプローラ」がそれぞれ、JDFを読み込んでの機械のプリセットと、実績データのJMFによるフィードバックするデモを行っていた。


ウォールンベルグの「バインド−コム」(Job番号881617とKenichi Somaが表示)


インテグレーションセンターのデモは各サイトがLAN接続されていて、自分の名前が付いた印刷のジョブが次々にサイトを渡っていくようになっていて、JDFの流れの基本を理解するには分かりやすい。しかし、MISはOCSL社、ppiメディア社、製版処理はアグフア、印刷はマンローランド、後加工はMBOなど3社などだけであり、またDTPの工程管理は無かった。
PrintCity全体では60社以上が参加しているというが、実際の印刷会社を考えるともっとたくさんのMISや工程管理のSIベンダーの参加が望まれるところである。

デモを見終わって「インテグレーションセンター」を降りたところにアドビが「CS」をアピールするブースの一つがあった。ここでも興味ある参考出品として、InDesignのJDF生成用プラグインと、アクロバットのJDF生成編集用プラグインを見せてくれた。生成したJDFは単独でもPDFに組み込んでも良いという。ここで生成するJDFは、あくまで印刷発注伝票に書かれる仕様のレベルで、当然であるが印刷工程などの細かな指示項目は入っていない。つまり発注側で書けるJDFの内容となっている。発売時期は未定ということであるが楽しみだ。

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報告セミナー(6/24 13:00-17:00)
つづく(2004.5.13:JAGAT 相馬謙一)

2004/05/14 00:00:00


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