財務省の「貿易統計」によると,2003年の印刷物の輸入額は,前年比3.5%増加して1051億円となりました。1997年にピークを迎え,減少傾向にありましたが,2001年以降また増加しつつあります。
かつて印刷業は内需型産業と言われましたが,グローバル化の流れと技術の発達で,海外で印刷物制作が可能になりました。従って,低コストを求めて印刷需要の海外流出が懸念されます。しかし,印刷産業の顧客である企業の工場が海外進出すれば,それに伴い包装印刷物(パッケージ,ラベルや取扱説明書,マニュアル)の製作を海外で行うということもあります。これは,包装資材印刷物の利用のされ方から当然のことと言えるでしょう。
一方,輸出額は前年比1.9%減の420億8000万円となっています。
印刷品目別に輸入額のシェア推移を見ると,はがき,カレンダー,宣伝印刷物などの商業印刷物は27.2%で,前年比で0.3ポイントのアップとなりました。金額では286億3900万円となっています。
トップは書籍ですが,そのシェアは前年より2.6ポイント下がり,41.8%となりました。金額も,439億7000万円で前年比2.5%下がりました。以下は,定期刊行物(新聞・雑誌など)が15.9%で167億6300万円(前年比5.5%増),包装資材が9.1%で95億4400万円(同23.6%増),事務用品(帳票,便せん,メモ帳,日記帳など)が0.4ポイント増で61億9800万円(同12.7%増)と続きます。包装資材,事務用品の伸びが目立ちますが,これらの輸入相手国としては中国が大きく伸びているほか,全般的には東・東南アジア諸国が目立ち,低コストを求めて国内の印刷需要が流出したものと思われます。
輸出については,書籍がシェア32.0%で前年比0.7ポイント減,包装資材30.6%と同1.0ポイント減少しました。定期刊行物は10.2%で同0.2ポイント増,商業印刷物が25.3%で同1.3ポイント増となりました。
(プリンターズサークル 2005年4月号より)
2005/04/30 00:00:00