日本製紙連合会の調査発表によると,2003年の紙・板紙の消費量(国内出荷+輸入±流通在庫増減分など)は,前年比0.6%増の3133万トンとなり,わずかですが3年ぶりに増加しました。
紙・板紙は,需要別に大きく印刷・情報用,包装・加工用,衛生用の3つに分けられます。印刷・情報用とは印刷に使用する塗工紙・非塗工紙,新聞用紙などです。包装・加工用には紙器や段ボール用の板紙などを含みます。衛生用とはトイレットペーパーやテッシュペーパーなどです。
需要減にストップが掛かったのは,2003年には後半から景気が上向きになって,デジタル家電関連,自動車業界などが好調なことから商業印刷向けで需要増になったほか,情報用紙(PPC用紙,感熱紙,インクジェット用紙など)が増加したためです。
かつてはデジタル化によって紙需要の減少が予想されましたが,大きな影響はなく,現状ではむしろ紙需要は景気動向に左右されていると言えます。しかし,よりデジタル化が進展することで,メディアの形態も多様化しており,紙・板紙の需要は今後大きく伸びる要因は少ないと予想されます。
10年間の需要構造の変化を見ると,1993年は包装・加工用が49.6%,印刷・情報用が45.0%,衛生用が5.4%で,包装・加工用が需要のほぼ半数を占めていましたが,2003年には印刷・情報用が50.0%,包装・加工用が45.6%,衛生用が5.4%で,印刷・情報用が半数となりました。
2003年のANNUAL REVIEW(PULP&PAPER INTERNATIONAL)によると,国別の紙・板紙消費量は米国が8815万トン,以下中国4650万トン,日本3080万トン,ドイツ,イギリス,イタリアと続きます。これを国民1人当たりの紙・板紙消費量で見ると,トップが米国の300.8kgで,次が日本で241.9kg,以下ドイツ(224.7kg),カナダ(221.5kg),イギリス(206.8kg)と,上位には先進国が並びます。
近年,環境意識の高まりから資源の有効利用が求められていますが,国別の古紙利用率は韓国が74.9%,ドイツ64.5%,日本は61.4%,以下フランス,中国,イタリアが50%を超える高い利用率となっています。
(プリンターズサークル 2005年4月号より)
2005/05/06 00:00:00