リモートプルーフソリューションの動向と事例 研究会速報
■印刷物制作のデジタルワークフロー支援サービス
富士ゼロックス株式会社 inter-Graphicsビジネスグループ
グループ長 清須 徹哉 氏/大矢 高也 氏
現在起きている印刷を取り巻く潮流・影響には,以下の4つがある
1.国際化
2.高度情報化(デジタル化)
3.成熟化(市場規模の鈍化,戦略なしには成長はない)
4.少子高齢化(マーケットの縮小構造変化)
また,変化には以下の3つがある。
1.主役の変化
産業が主役の時代から消費者が主役の時代へ変化
2.競争相手の変化
国内同業者間の競争から海外印刷業や電子媒体との競争を余儀なくされる
3.スピードの変化
眠らない社会,高度ネットワーク化,短納期,欲しい時に情報が欲しい
デジタル化による業界変化の方向性として,一層の効率的,合理的な仕事のやり方が可能になり,仕事の進め方いわゆるワークフローが大きく変化する,また,新たな競合の参入,海外へ仕事が流出,消費者ニーズを基軸にしたマーケットシフトに照準。
inter-GraphicsカラーマッチングRIPサービスは,確認したい時にいつでも仕上がり(印刷)イメージのシミュレーションが行え,操作も簡単であり,初期投資も安価であるのが特徴である。
ユーザ事例として,業界基準色で印刷イメージを確認し,実際の刷り上りとのギャップを最小限にとどめることで,修正リスクを回避する。また,離れた顧客に対してタイムリーに色校を送ることにより時間効率のメリットが向上する。
■リモートプルーフの実践におけるサービス価値づくり
水上印刷株式会社 管理部 課長 下田 豊 氏
Inter-Graphicsを含めたワークフローの実際の構築手順は以下のようになった。
1.ヒアリング 根本的なニーズ,環境(人、インフラ、予算)
2.最終モデルのイメージ共有・予算化
3.撮影条件・カラーマネジメントの基本ルール作成
4.プルーフ運用の基本ルール作成
5.印刷ターゲットの準備(社内標準化)
6.実運用テスト
現状ヒアリングの結果,商品撮影の手間(梱包、移動、時間のロス)や本社撮影の作業レスポンスが遅い,「想い」を反映してもらう為の厳密な指示など,工場担当者のストレスが明らかになった。
そこで,いっそ自分たちで撮影してしまえたらということで『デジタルカメラ』+『inter-Graphics』 という提案になった。
これにより,トータルの時間と販管費の低減,RGB-CMYK変換ノウハウや,自社で培ったカラーマネジメントが活きる。
しかし,印刷が不安定では最新技術のメリットが台無しであり,「標準化」は印刷会社の責務と考えねばならない。
トータルフローに、もっともFITしたのがInter-Graphicsであった。安く,早く,しかしより忠実にがキーワードとなり,デバイス管理は苦手でも対処でき,標準化につながる。
「リモートプルーフ」は単なる「校正出しの改善」ではなく,例えば,デジタルカメラと結びつけて全体フローの再構築として相乗効果が生まれる。また,仕様・ルールはしっかり設計する必要がある。
今後の課題として,校了紙,印刷見本はプルーフ本紙で運用しているが,校正戻しもリモートにしたい。
inter-GraphicsのRIP使用料等は印刷会社負担でもよいが,ハードは自社購入してもらう方がよいのではないか。
■ワークフローの再構築とinter-Graphicsの有効性
株式会社グラファイン 代表取締役 赤羽 紀久生 氏
印刷物製作工程において,ワークフロー再構築のポイントは,役割分担の見直しと標準化である。具体的には,企画,パーツ制作,デザイン,プリプレス,プレス,ポストプレスの各工程で責任を明確にする。また,ネイティブファイルによる作業やPDFファイルを中心とする情報共有,JapanColorなど汎用性のある色基準の運用がある。
完全データの作成と出力を完全に分離して考えた方がよいのではないだろうか。
十数年前の印刷物製作工程では,デザインをはじめ撮影フィルムのスキャニング,写植,レタッチ,フィルム出力,平台校正などが必要であったが,現在ではパソコンとソフトがありinter-Graphicsなどのツールがあればデジタルプルーフが容易に出力できるようになった。
inter-Graphicsの有効性として,
1.スピード
2.コスト
3.クォリティ
4.タイムリー
5.フレキシビリティ
など,ワークフロー再構築を補助する優れたサービスがある。
また,印刷業に必要なこととして以下の項目があげられる。
1.ワークフロー再構築
2.業務の選択と集中
3.スタッフ・営業員の再教育
4.生産性・利益重視
5.将来に対するビジョン
6.ビジネスモデルの改革
2005/06/06 00:00:00