デジタル印刷分野はさまざまなアプローチがあり技術的な到達やビジネスへのアプローチは微妙に異なる。PAGE2006コンファレンスE4「デジタル印刷のCIM」からベンダー各社の方向を探る。
【その3:SCREEN】 (その1はこちら、その2はこちら)
これからは企業価値の向上を図るためには2つの志向が必要になってくる。
一つは印刷のCIM構築であり、(1)印刷受注のデジタル入稿への対応などの部分最適化、(2)日々の評価改善や基準作りによる全体最適化、(3)経営との融合やリアルタイムを目指して企業価値を向上していくこと。
もう一つはリスク管理の志向であり、(1)Pマーク・ISMSの取得などによる情報管理の体制、(2)そして全社的なコンプライアンス体制の強化、(3)さらに企業リスク管理体制の強化など2008年3月から適応されるであろうSOX法への対応である。
つまり、ITを活用しながらCIMの構築とリスク管理を経営の両軸とすることが必要になってくる。
このような状況に対してSCREENではフロントにTrueFlowNetを置くことで、(1)CIM構築、(2)CRMの取組み、(3)色管理として高品質印刷の提供を行っていく。
CIM構築ではTrueflow Suiteなどの新製品郡によって、加速する多品種小ロット化の傾向に対応してコストダウンへの取り組み、短納期化・営業活動の国際化・残業時間短縮などを目指していただくことができるような開発を行っている。
基本的な考え方は、「出来るだけできるだけ早い段階でページを確定(校了)する」ことであり、そのための徹底的な効率化・自動化を図っていくというコンセプトで開発を進めている。
現在は校了になるまでに、顧客側と印刷側とのやり取りに大きな時間がかかっているが、今後の方向として、できるだけ顧客側で校了になるようにしたい。
そのためには、(1)顧客が出力結果をできるだけ簡単に確認できること、(2)印刷に必要なデータを意識しなくても顧客側で自動生成する、という2つのポイントで開発を考えている。
その一部として国内では未だ出荷していないが、自動組版処理システム、ソフトプルーフなどの仕組みを海外で出している。
4月の開催されるイギリスのIPEX2006では出展予定の「RitePortalSuiteEdition」は、印刷側にはTruefrowやRiteControlがあり、顧客との接点にRitePortalを置いている。 入稿印刷データをTrueFlowのホットホルダーに投げることもできるし、JDFを付けて流すこともできるようになっている。
RitePortalでは顧客をグループ化して、グループごとに機能の違うプリントドライバを提供する。このプリントドライバには、PDF生成機能とプリフライト機能がある。そして顧客グループによって、どのような種類のPDFを生成してもらうか(PDF/X-1a、PDF/X-3、PDF/X PLUSなど)、プリフライトにどのようなプロファイルをつけておくかなど、設定しておくことができる。
顧客側はプリント指示をするときに、あらかじめ印刷側から配布されたプリンタドライバを選択する。これによって必要なPDFが生成され、プリフライトが掛かった状態で結果が表示される。ここであらかじめ定義されたプリフライトプロファイルに合致しないPDFの場合は、顧客は印刷発注の承認ボタンが押せないようになるので、データを修正する。
そしてOKになると承認ボタンが押せるようになり、作成したPDFを印刷会社側にアップロードする作業になる。はじめに自動的にログイン画面になり、ログユーザごとのディスクサービスがあって、作業エリアに入っている印刷出稿用のPDFを選んで、ショッピングカートに入れていく。
印刷側では入稿がメールでわかるので、受注作業としてPDF原稿をTrueflowに渡したり、またはJDFを付けたPDFを他社システムに渡すような入稿処理を行う。
定型の発注については、顧客側では直接ショッピングカートにPDFを入れるとか、さらに直接、印刷会社のバックエンドにPDFをシステムに渡したり、いくつかのページをまとめてJDFでバックエンドに渡すことも可能である。
このように、SCREENでは印刷会社の企業価値向上への取組みとして、(1)部分的なCIM構築ではデジタル・アナログの使い分けなどを含めてRite SuiteによるCRM構築。(2)基準作り・全体最適化では共通言語・知見の共有ということを含めてTrueflow SuiteでJDFによる自動化と作業管理。(3)経営との融合・リアルタイム化では、Riteinfoから情報コックピットへ発展させることによって、透明性の高い企業風土を醸成することによる企業価値の向上を目指していただく製品群を提供していく。
2006/03/28 00:00:00