今号は、UDの発祥や世界、日本の動向について考察していきます。
●ロナルド・メイスは何者だ?
UDは1950年代の「ノーマライゼーション」が根源とされています。障害の有無にかかわらず、だれもが社会の中でともに生きることがノーマルという考え方です。
その後「バリアフリー化」が推進され、1990年代に、アメリカの建築家ロナルド・メイス氏が「UD7原則」を提唱しました(図1)。彼は、車いす生活をしながらUD普及に尽力し、「UDの神様」とされています。
●いつの間にか日本にUD施策?
日本では、1990年代からバリアフリー施策が進みました。「ハートビル法」「交通バリアフリー法」などを施工したことにより、一気に整備が加速したと言えます。
また、2004年「ウェブ・アクセシビリティ指針」において、Webの見やすさ使いやすさなどもJISにて制定されました。
しかし、利用者視点や心のバリアフリーへの対応が不十分、という課題もありました。そこで昨年、国土交通省は「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」という理念の「ユニバーサルデザイン政策大綱」を策定しました(図2)。
皆さんお住まいの都道府県でも「UD施策」が推進され
整備が進んでいませんか!?
●日本のUDは遅れている?!
…なんて思っている方は、大間違いです!むしろ先進国とされています。
前述したように、国外では人権保護、法律などの整備は進んでいますが、ビジネスモデルとしては、いまだ成熟しておりません。日本では逆に、施策よりもUD製品化、ビジネス展開が進んでいます。
松下電器「ななめドラム洗濯機」やコクヨ「カドケシ」、トヨタ「ラウム」など、日本のUD製品は世界各国に注目されています。
日本独特の「思いやり」や「ささいな心配り」という気質が、モノ作りに生かされている、という要因もあるのでしょう。
…次号では、私たちの身の周りのUD製品を見つけていく予定です。
『プリンターズサークル2006年5月号』より
2006/05/15 00:00:00