フォントとRIP(Raster Image Processor)の関係については、パソコンを家庭やオフィスで使うときにはあまり意識することはありません。 Windowsパソコンは、パソコンにインストールされているTrueTypeフォントを、GDIによる画面出力とプリンタの両方に使用します。出力の時にはパソコン側でプリンタの機種ごとのプリンタドライバによって出力機固有の出力データをプリンタに送り、プリンタ内蔵の専用RIPがビットマップデータを作成して出力します。 一方で印刷のためのDTPはTrueType以前からPostScript技術をベースに発展してきました。
そのためにMacを印刷用DTPで使用するときには、印刷で一般的に使用されるPostScriptフォントを画面表示するATMのために、また同じ書体のPostScriptフォントをプリンタやイメージセッタのRIPにもインストールする必要があります。これによって、QuarkXPressなどの編集画面はQuickDrawとATMでPostScriptフォントをきれいに表示し、出力はAdobePSなどのプリンタドライバが、フォント無しの文字コードだけを含んだ出力用のPostScriptデータを生成し、RIPに送ります。RIPは内蔵された高解像出力用PostScriptフォントを使ってビットマップデータを生成し、出力機のエンジンに送って出力となります。
こうすることで、画面と同じフォントが出力機からも出力できます。ところがRIPにMacに入っているフォントが入っていなかった場合は、画面で表示されたフォントが、出力のときには他の書体に置き換えられてしまう、いわゆる文字化けのトラブルを起こします。これを避けるためにコンピュータやRIPにどのようなフォントがインストールされているかを常に管理する必要があります。
文字化けなどを避けるためにMacからの出力用データを、PostScriptフォント埋め込み型のPDFファイルにする方法があります。PDFファイルはパソコンの中で出力用のPostScriptデータから作られるのですが、フォント埋め込み型にすることで、RIPに画面と同じフォントが無くても文字化けを起こしません。しかし、古いバージョンのPostScriptフォントやRIPではこの方法は使えません。
しかしPostScriptフォントとTrueTypeフォントを統合したOpenTypeフォントが普及すれば、MacとWindowsの区別やRIPにフォントをインストールする必要がなくなっていくでしょう。
これらの記事はJAGAT新刊「印刷入門」からの抜粋です。
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