印刷用紙の種類と特性
一般に印刷用紙は、木材パルプを原料として作られます。紙と一口に言っても、和紙や化学合成樹脂を原料に用いている紙、セラミック繊維を使用したものなど、さまざまな種類の紙が用途によって使い分けられています。
ここでは、印刷用紙として使用されている代表的な紙に絞って話を進めます。印刷用紙は、洋紙と板紙に大別されますが、前者は薄い紙、後者は厚い紙です。洋紙は抄紙された層が一層なのに対して、板紙は多層にすることで厚みを出しています。
製紙原料の半分以上は古紙
古紙回収率が世界トップクラスのわが国では、製紙原料の半分以上を古紙が占めていて、残りは国産材や輸入材を主体とする木材チップから作られるパルプと、輸入パルプになります。
製紙用木材チップの多くは国産材、輸入材ともに、製材時に出る残材や製材に不向きな低質材(細い木、曲がった木、芯の腐った木)を使用しています。熱帯地方からも木材チップを輸入していますが、そのほとんどが人工林からのものです。
印刷用紙の規格寸法
印刷用紙は、日本工業規格(JIS)によって印刷や製本加工のための余白分だけ大きなサイズの原紙寸法と、製品としての仕上がりサイズに適用される仕上げ寸法が規格化されています。たとえば、A判仕上げ寸法A列1番よりひとまわり大きいA列本判や菊判、B列1番判よりひとまわり大きいB列本番と四六判という原紙寸法があります。
印刷物を製作する際には、判型のサイズから印刷用紙の取り都合を計算し、極力紙のロスがでないようにします。
用紙のJIS仕上がりサイズは表4の根拠から算出されています。
全判(A1、B1)以下の用紙寸法は上記の長辺を1/2にして端数を「切捨てた数値」で、順次同様に計算することができます。
製本仕上げなどの寸法許容差
印刷人の常識としてぜひとも覚えておいて欲しいのは、「紙加工仕上寸法と寸法許容差(JIS規格)」です。A列とB列の製本仕上げ寸法について、JISでは
150mm以下は±1.5mm、150mmを超え600mm以下は±2mm、600mmをこえるところは±3mmという許容差が認めているということです。
連量と坪量
印刷用紙の売買は、「洋紙」は全判1,000枚、「板紙」は100枚を1連として取り引きされます。同じ銘柄でも厚さの異なる多種の用紙が販売されており、紙の厚さの目安として印刷会社では通常連量が使われますが、連量は同じ用紙でも面積(大きさ)によって重量が異なるので、「四六判90kg」というように、紙の大きさと1,000枚分の重量を表記します。
一方、用紙業者は厚さを示す単位として大きさに左右されないメートル坪量=g/m2が使われることも多く、用紙1平方メートル、1枚あたりの重量をグラム単位で表示します。
これらの記事はJAGAT新刊「印刷入門」からの抜粋です。
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