2018年4月19日、印刷総合研究会では「インバウンドプロモーションと越境ECの動向~中国・台湾客を呼び込む施策と海外販売の可能性」を開催。中国最大のSNSである微博(Weibo)、海外旅行者向けWi-Fiルータレンタルのテレコムスクエア、越境ECをサポートするtensoが登壇、それぞれ自社サービスについて紹介しました。
日本に関心がある中国ユーザーに確実にリーチできるSNS「微博(Weibo)」
新浪日本微博株式会社 ディレクター/マーケティングプロモーション 田中里枝氏
微博(Weibo)は7億人のユーザーが利用する中国最大のSNS。その日本法人である新浪日本微博の田中氏は、「Weiboの力~中国SNS事情とWeiboによるプロモーション事例」というタイトルで中国SNS利用の状況や微博のしくみについて紹介しました。
・7億人超が利用する中国最大のSNS
・Webサイトの代わりとして微博ページを活用する例も
・ライブ配信によるリアルなプロモーションも増えている
中国ならではのSNS事情や日本企業・自治体が微博を活用したプロモーションについて紹介しました。
お花見シーズンにあわせて桜をモチーフにした広告表現で訪日ユーザー向けに広告を配信した医薬品メーカーの事例や、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる影響力があるユーザーに依頼してライブ配信で店舗や商品の紹介をした浅草のお土産屋さんの事例を紹介。(→関連記事)
在日KOLは日常的に日本の情報発信を行っているので、フォロワーも日本に関心を持った人に自然とセグメントされるとのことでした。
微博は1日1.3億もの投稿があるので投稿が埋もれてしまう心配もあります。田中氏は、「定期的に投稿した上で、少額でもよいので広告を出してユーザーの目に触れる機会を定期的に作ること」をすすめていました。
リアルなタッチポイントと独自のブロガーネットワークを活かした台湾向け施策
テレコムスクエア株式会社 東日本セールス事業部門
メディアセールスグループ
アシスタントマネージャー 魚住和久氏
テレコムスクエアは、世界各国のモバイル通信機器のレンタルサービスを提供する一方、台湾ユーザー向けの各種プロモーションも手掛けています。今回テレコムスクエアの魚住氏は「台湾市場トップシェアだからこそできる、訪日プロモーション手法」というタイトルで自社の取り組みを紹介しました。
・台湾から訪日する人の10人に1人が利用するWi-Fiレンタルサービスを運営
・リアルなタッチポイントとユーザー規模を活かしたプロモーション展開
・フリーペーパー×ARアプリの事例も
台湾の地理的特徴に触れたのち、訪日客のリピート率の高さ、日本食への関心、Facebook普及率の高さやブロガーの影響力など、台湾の特性を数字で解説。(→関連記事)
2017年度に同社が手掛けた100事例のなかから、大手ディスカウントストアが実施した空港でのクーポン配布事例や台湾の人気ブロガーに情報発信してもらうプロモーション事例を紹介しました。
大阪のある飲食店では、人気ブロガーに動画や写真を投稿してもらいFacebook限定のクーポンを配布したところ、数時間のうちに数名の来店者がきたうえ、1日で1万いいね!を獲得したとのこと。台湾からの旅行者は事前の情報収集するだけでなく、訪日中にもこまめにFacebookやブログをチェックしていることがわかる事例でした。
ほか日本の“食べる・遊ぶ・飲む・楽しむ”をテーマにしたフリーペーパー『日本放題』とスピンアウトして大手鉄道会社とコラボした『駅弁放題』の事例を紹介しました。
フリーペーパー『日本放題』と『駅弁放題』
新たな市場として注目される越境ECの可能性
tenso株式会社 執行役員 浜田祐輔氏
海外ユーザーが日本のECで買い物をする「越境EC」の需要が高まっています。日本の商品を購入したいという海外ユーザーと、海外に商品を販売したいが対応していないというECに対して発送代行サービス「転送コム」と代理購入サービス「Buyee」を提供するtensoの浜田氏は、「越境ECの動向とtensoのビジネスについて」というテーマで現在の越境ECの状況とtensoのビジネス、そして今後の可能性について紹介しました。
・国内最大の越境ECサポートサービスで海外発送数はNO.1
・EC側の負担をなくすことで越境ECの利用ハードルを下げる
・インバウンド客を越境ECへ誘導するためのチラシ事例
tensoの利用ユーザーは150万人。120か国に商品を配送しています。最も多いのが香港で、次いで中国、アメリカ、台湾と続きます。アメリカを除くアジア3国で50%を超えます。ここ2~3年でタイ、マレーシアなど東南アジアからのEC購入が伸びてきています。
tensoで売れているのはおもちゃ・ゲーム、ファッションなど。「海外で買うより日本の方が安い商品がある」や「日本でしか売っていない商品がある」点に越境ECのニーズがあり、これは長期的に見ても変わらないとのこと。
浜田氏は、「越境ECのニーズがあるところは多い。越境ECを始めるにあたっては、まずは自社ECのアクセスを見て海外ユーザーが訪問しているかを確認すると良い。ある程度海外からのアクセスがあるのであれば費用負担が少ないBuyeeを導入して様子を見るのも手だ」と説明しました。
最後の質疑では、「越境ECサイトのQRコードを微博で配信してPRする」などSNSでプロモーションして誘客する可能性についても触れました。
(JAGAT 研究調査部 中狭亜矢)
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2018年5月開催の印刷総合研究会は、サイト改善手法として注目すべき「成功するコンテンツ施策」と「A/Bテストによる改善」について事例から成功ポイントを探ります。
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2018年5月24日(木) 14:00-16:20(受付開始:13:30より)