【有資格者寄稿】多角的視点で動向を捉える人材がビジネスチャンスをつかむ

掲載日:2016年12月9日
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エキスパート資格制度活用は人材育成の「はじめの一歩」。有資格者の声をお届けします。

クロスメディアエキスパート認証試験合格者に聞く

株式会社創土社 取締役 桑原 英明

資格制度は転職者の特効薬!?

弊社は1970年(昭和45)に企画編集と単色印刷から始まった会社で、私は2004年に営業として入社しました。一般的な印刷会社の営業としてクライアントに伺い、入稿から印刷~納品までの管理を行っておりました。まだ、スマホも発売されていない時代です。

そのようなとき、以前から資格試験として意識していたJAGATのDTPエキスパートを受験しようと考えました。ちょうど現在の会社に転職してきて2年くらい経った時期です。その理由としては自分の実力を試すというよりは、転職先では前職の経験が簡単に認められないというジレンマからだったと記憶しています。資格の取得により転職先で経験値を明確に示すことができるからです。クロスメディアエキスパート認証試験(以下CME)よりも先に受験をしました。

DTPエキスパートは、専門用語をなんとなく知っているというレベルから、より深掘りができるレベルまで理解が出来、アナログ時代から最先端の印刷技術まで試験範囲が広いので、個々のオペレーションレベルからグループリーダーという管理職の一歩として、キャリアアップには絶好の資格です。

裾野を広げるクロスメディアエキスパート

そもそも私は営業職なのですが、DTPエキスパートで新たな知識と力をつけたものの、クライアントに新たな提案をして裾野を広げていかなければなりません。そして競合他社に後れを取るわけにはいきません。そこでCMEの受験を考えたわけです。CMEでは、いままで印刷業界ではクライアントがあまり求めてこなかった“提案型”の思考や手法を勉強できます。いわゆる攻めの営業です。たとえば、マーケティングの基礎から分析方法、もちろん最新のWeb技術なども盛り込まれるのですが、あくまでもアウトプットするための基礎知識であって、知識があってもアイデアを組み合わせた提案力がなければビジネスには発展しません。試験内容も第1部(学科)試験、第2部(記述)試験でそれぞれ問われます。

多様なメディアを用いて表現するマルチメディアという言葉もありますが、多様なメディアだけではクロスしきれないことを、多方向の切り口からアプローチしてクロスさせ問題解決するための思考をCMEでは基礎から学ぶことができます。

「鳥の目」「虫の目」「魚の目」の3つの目

「鳥の目」「虫の目」「魚の目」という3つの目は、モノを捉えるときに3つの視点で同時に見つめていくことが大切であるということをお聞きになったことがあると思います。ビジネスではおもに経営者が持つべき視点とも言われています。

実はCMEにも当てはまると感じています。「虫の目」は技術情報(マクロ)、「魚の目」は最新のトレンド(潮流)です。そして「鳥の目」(全体的&俯瞰的)では、「虫の目」と「魚の目」を用いた分析とマーケティングと考えます。もちろんCMEではこれらの基礎を学ぶわけですが、そこから深掘りしていくことも大事になります。印刷業界に長く携わっている人にとっての「とっかかり」としては最適だと考えます。

そしてスマホファーストの時代に突入した現在。私は今後の業界動向を先に挙げた3つの目で捉える力が必要だと感じています。それは営業職のみならず、制作現場も変わりません。そのような思考の人材が多い企業ほど、新たなビジネスチャンスが生まれてくるはずです。

「ゆでガエル」状態になることに危機感を

次世代を担う社員には、貪欲的に勉強をしてもらいたいと考えていますが、日々の業務に追われてなかなか重い腰があがらないようです。単純に時間が足りないともいえますが、気が付いていない間に取り残されていく「ゆでガエル」状態になることに危機感が薄いように感じます。

幸い弊社では安定したレギュラーカタログを制作から受注できており、日々のスケジュールに追われている状態です。ただし、同業他社の競合がいないわけではなくジワジワと浸食されかねません。その際に差別化できることが必要になってきます。

DTPエキスパートやCMEの資格試験は視野を広げ、仕事の幅も広がります。時間は作るものですから、いまの日常をタスクブレイクして「問題解決」をしてもらいたいですね。このような思考もCMEでは展開されていますので、まずは勉強を始めてみることが大事かもしれません。

小規模な会社での人材育成の近道

新卒者を採用せず経験のある中途採用者がほぼ90%を占める弊社では、OJTなどの育成プログラムがなく、営業や制作ともに実践ありきになっています。すなわち個々の技量で仕事の質が社員ごとに差が出てきています。そして社員一人一人が勉強をしようと言う意識が大きく働かない限り、会社の実力は一定レベルで止まってしまうのではないのでしょうか?

小規模な会社にとって資格制度は人材育成の近道だと考えます。そのため弊社では、DTPエキスパート、CMEの2つの資格取得に対して、受験料と事前のセミナーなどの費用補助を行っています。その結果、現在2つの資格を合わせて6名(約20%)が有資格者です。今後はさらに資格を取得する社員が増えることを期待するとともに、社員が資格にチャレンジできるしくみを考えていきたいと思っています。

「はじめの一歩」で脱皮していくために

最後に、CMEを取得した後には、得た知識と思考をさらに発展させていく努力が必要だと感じています。技術情報やトレンドは同時進行で動いていますし、ソーシャルメディアの動きの早さには目を見張るものがあります。そしてオウンドメディアやアーンドメディア、ペイドメディアという、トリプルメディアという言葉もよく耳にするようになりました。

弊社ではCSR活動や会社のオリジナリティをフェイスブック(※)で発信しています。クライアントへの新たな提案は勿論ですが、まずはできることから始めてみることが大事だと思います。特にSNSはビジネスアカウントでも無償で始められますので、敷居は低いと思いますし、それらの蓄積は「コンテンツ」として新たな広がりも期待ができるわけです。例えば「インスタグラムを使用したら何を発信できるか?」ということです。インスタグラムという道具を分析し、アイデアを膨らませて企画化、提案できるプレゼンができるのか・・・

CMEはそのような思考プロセスを持つ人材を育成する「はじめの一歩」になることは間違いありません。

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