第60期DTPエキスパート認証試験講評
第60期試験概況と結果講評を掲載いたします。
第60期試験は、学科試験を8月27日(日)東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌の6会場および指定講座会場にて実施、実技試験を8月27日(日)~9月25日(月)の期間で実施した。
学科試験当日は合計195名が猛暑の中各会場に来場し、試験に臨んだ。
なお、次回2024年3月開催第61期試験より、学科試験は全国各地約360箇所にて受験可能なCBT方式に移行する。移行後の試験概要については、JAGAT Webサイトに最新情報を掲載する。
試験概況
今期は、マイスター取得希望者とエキスパート取得希望者の比率はおよそ半々となり、申請者の職種としてはデザイン制作職の比率が高まった。
2段階制導入当初は、営業職はエキスパート、制作職はマイスターという傾向が顕著であったが、徐々に職種を問わず学科・実技に取り組む傾向となっている。
学科試験
今期試験は、以下の項目を中心に内容を入れ替えた。
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- 書体選択の基準
- 欧文書体の特徴
- 画像の調子再現画像の調子再現
- オフセット印刷と総インキ量
- 製本仕様とレイアウト
- リーフレット
- ISMS認証とプライバシーマーク制度
学科合格率は51.3%となった。毎期の傾向として、マイスター申請者はエキスパート申請者より合格率が高い。今回も、マイスター申請者の学科合格率65.1%、エキスパート申請者の学科合格率40.4%と11.7%の開きがある。学科試験問題は共通であり、難易度に差はない。学科試験に集中的に準備を進められるエキスパート申請者は、対策教材等も活用して達成度を高めていただきたい。
実技試験
旅行情報誌に掲載する広告提携記事として、日本各地の温泉地と提携旅館施設などを紹介する見開き4ページをデザインレイアウトする、という課題を出題した。
出題のポイントとしては、
- 広告記事として、温泉サービスサイトを訴求する。(制作コンセプト)
- 判型210ミリ×210ミリ 4ページの紙面構成(デザインレイアウト、文字組版、印刷適性)
- 見開きぶち抜きの囲み情報を表組も活用して効果的にレイアウト(デザインレイアウト)
- 写真、図版(13点)の意味合いを考慮し効果的に配置(デザインレイアウト)
といった点が挙げられる。(上記括弧内は評価項目名)
温泉地という馴染みやすいテーマ設定だったこともあり、変形4ページという従来に比べ負荷がかかる課題にもかかわらず、合格率は69.3%と高まった。
情報誌のなかで注目を引くような冒頭ページのデザイン、温泉地への導線となる各地の特徴やイメージを伝える記事ページ、具体的な旅行計画に誘導する囲み情報など、扱う素材は多岐にわたる。これらを効果的にレイアウトした提出物が合格につながった。
レイアウトデータとともに提出される制作コンセプト書では、読者ターゲット情報を整理してデザイン効果を検討する指針を記述する。マイスター認証で新たに設けた評価基準が浸透し、さらにペルソナの設定をコンセプトにつなげる記述も見られた。マーケティング意識の高まりが反映された結果となった。
実技試験作例
合格基準に達しなかった提出物には、
- 写真のレイアウトに難航し、意図のない空白が目立つ
- 囲み情報を見開きページにまたがるようにレイアウトする要件に適切に対処できていない
- 見開きページのノド余白が不十分など、製本を考慮していない
- 判型違い
といったものが多く見られた。
実技試験では、DTPアプリケーション機能の進化につれて、制作者がより多様な印刷物制作に携わる傾向を想定し、毎期新課題を出題している。
(DTPエキスパート認証委員会)
DTPエキスパート学科試験全国各地のテストセンターで受験可能なCBT方式に移行
学科試験を全国の最寄り会場から受験日時を選択して受験できるCBT方式に移行します。
詳しくは、試験案内ページよりご覧ください。
【第61期試験】
試験期間:2024年3月8日(金)~3月9日(土)
受験申込期間:2024年1月12日(金)~2月9日(金)