モノづくりのプロフェッショナル人材として困りごとのサポートを
第55期試験でマイスター認証を取得した木部 康孝 氏は、秋葉原に本社のある食品用包装資材制作会社(株)岡村のデザイン企画部にて、主に食品用パッケージのデザイン制作全般に携わる。業務範囲の広いパッケージデザインには合格後も研鑽が必要と、JAGATコンテンツ含め様々な媒体から情報収集を続ける木部氏にお話を伺った。
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第55期DTPエキスパート・マイスター取得者
木部 康孝 氏
(株)岡村 デザイン企画部
ご自身の業務経歴や最近のお仕事について教えてください。
秋葉原にある(株)岡村のデザイン企画部でデザイン業務に従事しています。2016年に入社してデザイン室に配属となり、6年目になります。食品関連、お菓子のパッケージやパッケージ用ラベル、栄養成分表示ラベル、製品の販促物など、図版制作や製品撮影も含め行っています。
弊社では、営業部門がデザイン業務を受注すると、パッケージの設計も含めたデザイン、データ制作、校閲・校正、品質管理まで一連の業務を、基本的に一人のデザイナーが担当することになっています。そのため、デザインや印刷についてはもちろん、CADの知識なども必要になります。DTPエキスパート・マイスターで求められる知識範囲は大変幅広いのですが、それらをフル活用して現業務にあたっています。
最近は、コロナによる巣ごもり需要の影響でパッケージの制作依頼が増加傾向にあり、特にお客様はオンラインショップの製品に力を入れ始めています。オンラインショップ用のパッケージデザインでは、店舗販売用のパッケージとは製品の見せ方も変わってくるため、販売形態によるデザインの差異を考慮して制作しています。パッケージデザインは購買行動に直に影響するからです。
DTPエキスパート取得に取り組まれた経緯・動機について教えてください。
弊社ではDTP環境が一般化する以前、30年以上前からデザイン業務を行っていまして、上司・先輩はそれだけの実績、経験、お客様からの信頼も豊富な方々です。私はまだこの業務に就いて6年目ですから、先輩方から指導を受けていても自分でかみ砕き切れていないというジレンマがありました。大学では空間デザインが専門だったので、印刷・DTPに関する知識がないまま入社したこともあり、自分が戦力になれているかどうか、不安に思う気持ちもありました。とはいってもこの仕事が楽しく、この会社で戦力になっていきたいという想いを持っていました。
そうした中、DTPエキスパート取得者の方のお話を伺う機会に恵まれ、それまで理解できなかったことや疑問に思っていたことを質問してみたのです。その方は、深い知識と経験をもとにとても分かりやすく説明してくださり、感銘を受けました。自分もそんな実務者になりたいという想いを強くし、エキスパート取得を決意しました。
受験を決意してからはどのような学習方法をとりましたか?
試験対策参考書、模擬問題、講座などを活用して学習し、実業務でも、エキスパートの参考テキストにある知識の中で当てはまることを意識して臨むようにしました。
現在の業務はパッケージデザインがメインのため、InDesignでの書籍・雑誌の紙面デザインに触れることは少ないのですが、デザイン全般について勉強していきたいと思っています。所属部署でもデザイナーの先輩方は実務実績が豊富な方が多く、実務経験をベースにお話を伺うこともためになるのですが、実技試験の対策講座で講師の先生方にレイアウトの効果や色使いなどについてセオリーベースで具体的に解説いただき、デモンストレーションに触れることは、また違った意味でとても勉強になりました。
取得への取り組みでメリットを感じている点はどのようなことですか?
JAGATのマイスター認証を取得したということで、自分の能力が認められたという自信につながっています。そのことで今まで不安に感じながらやっていたことに対して自信をもって臨めるようになりました。例えば、製版データを制作する際、試験対策で学習した画像調整に関する内容で得た知識を活用することで最適な状態のデータを用意できるようになり、精度が上がったことを実感することがあります。
同時に資格取得者であることで責任感も増してきています。認証者としてふさわしい仕事をできるよう、日々研鑽していきたいと思っています。
日常の業務で課題を感じていることや、これから改善したいと思うことなどありますか?
ハードウェア、ソフトウェアの性能向上によって制作環境が劇的に変化してきています。iPadやM1チップなど短期間で性能が向上していますし、Adobe社のソフトウェアもサプスクリプションになってから機能追加・更新スピードが増しています。それによって作業が短縮されるなどのメリットもある一方、従来機能の仕様変更を理解・把握するのに手間どることもあります。さらにコロナ禍で弊社内でもリモート作業環境を導入・充実し始めています。
そうした環境変化への対応が現時点での大きな課題です。常に関連の最新情報をウォッチし、対応方法を探ることを意識的に行っています。
自分のスキルを用いて多くの方に手に取ってもらえるモノづくりができるということは、とてもやりがいのある仕事ですので、こうした変化への対応にも前向きに取り組んでいるところです。
エキスパート取得後の変化や今後の目標はありますか?
印刷知識、情報システム関連の知識が豊富になったことで、トラブルに対する対処がスムーズになったと感じています。
また、以前から発注者であるお客様のより良い製品開発を行う要望の中で、印刷や加工など技術的な面やコストを具体的に説明しサポートしていきたいと思っていました。エキスパート資格取得のために勉強したことで、そういった面でも自信を持ってサポートできるようになりました。
最終的な目標としては、一人のモノづくり人材として、お客様の困りごとへのサポートもできる人になっていきたいと思います。
インタビュー・まとめ JAGAT資格制度事務局 丹羽 朋子