エキスパート認証制度 今期の取り組み動向
8月30日に実施した第44期試験の実技試験の提出は、9月28日(月)に締切を迎えた。
今期試験への取り組み動向と試験で取り上げたテーマについてお伝えする。
第44期DTPエキスパート認証試験実技試験
受験者459名に対し、382名が課題制作物を提出した。
今期はペラ物B課題について、試験開始後初の題材変更を迎えた。その背景は、実際の市場においてより一般的に流通しておりかつ重要性を増す題材を取り上げようという趣旨によるものである。
従来の題材となっていた旅行チラシは、現在情報の検索性に関する優位からWebがより活用される傾向がある。一方DMハガキについては、他メディアによって代替可能な情報伝達という役目に留まらず、他の情報媒体との物理的な差別化による開封率の向上、効果的な視線誘導を促すデザイン性などの観点から、販促展開ツールとしてより注目が集まっている。
今期はこの点を踏まえ、ペラ物題材として取り上げるとともに、DM発送に関する基本知識についてを学科試験で新問題として扱った。
当日試験に向けての取り組み
去る8月30日、東京会場二松学舎大学九段キャンパスをはじめとする全国各会場にて試験を実施した。DTPエキスパート472名の申請のうち459名、クロスメディアエキスパート201名の申請のうち194名が受験した。
今期は人材育成方針として資格取得を採り入れる動きを具体的に展開した企業が多くみられ、新潟県印刷工業組合のDTPエキスパート/クロスメディアエキスパート対策講座、宮城県印刷工業組合のDTPエキスパート対策講座の他、企業単位のクロスメディアエキスパート取得対策講座が東京、大阪など複数個所で開催された。その他、東京都による「印刷業界における若手従業員処遇改善事業」の一環として実施された各セミナーの中で「DTPエキスパート/クロスメディアエキスパート取得支援講座」も開催され、資格取得を個々人の意欲に任せるだけでなく、企業や団体として取り組みを主導したうえで従業員のモチベーションと能力を高めていくという動きが目立った。
講座では、試験ガイダンスに続き学科対策、実技対策という一連のメニューに加え、資格取得に向けた学習範囲と取得後の活躍の場など、印刷業界人としての今後を見据えた取り組みを促すガイダンスを交え、受験(予定)者の資格取得を通したメディアビジネスへの意欲を高めるよう展開した。
第44期DTPエキスパート認証試験申請状況
全体の申請数は472名と対前年比96.7%となった。このうち、企業受験割合は52.5%と過半数を占める傾向を維持し、前述の対策講座受講に見られるように、企業単位での資格取得推進による制度活用の傾向が表れている(表1)。さらに業種別申請者割合では「印刷・製版」が354人、全体の75%と平常よりも多くの割合を占め、印刷業界内での活用促進が目立った(表2)。
表1: 受験形態別申請者数
受験形態 | 申請者数 | 申請比率 |
団体受験 | 248 | 52.5% |
指定講座受験 | 33 | 7.0% |
個人受験 | 191 | 40.5% |
表2:業種別申請者比率
業種 | 申請者数 | 申請比率 |
印刷・製版 | 354 | 75.0% |
デザイン・出版 | 17 | 3.6% |
メーカー・ディーラー | 52 | 11.0% |
一般・個人 | 27 | 5.7% |
その他 | 22 | 4.7% |
第20期クロスメディアエキスパート認証試験申請状況
DTPエキスパート同様全国7ヶ所のJAGAT会場にて開催した。
全体申請者数は201名、うち第一部(学科)試験のみ合格した方が再受験の際一定期間第一部試験が免除される一部試験免除制度による申請者が38名となった。
企業や印刷工業組合による対策講座を受講しての受験者が推定で新規受験者の約半数*となり、印刷業界の新たなビジネス展開への対応に向けた取り組みを企業として促す傾向が顕著に表れた。
*JAGATにて把握している対策講座の受講者のみをカウント
本試験は、10月末 Web先行にて合格発表を行う予定である。
(JAGAT CS部 丹羽 朋子)