スマホシフトが進む中、どうやったら売れるコンテンツを生成することができるのか。メールとDMを使い分けるためにはマーケティングやデータ分析、そして消費者の動きを知ることが不可欠だ。(過去の公開記事のデータを更新して再編集しています)
メディア接触の3割以上がスマホとタブレットに
テレビ、新聞、雑誌、ラジオなどのマスメディアは転換期を迎えているといえるだろう。そして、Web、スマートフォン、ソーシャルメディアなど新たなメディアはこの数年間で大きく変化した。
博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の調査によると、メディア接触時間は大きく変化している。2017年の1日当たりのメディア接触時間は、タブレット端末を除く6メディアの接触時間減少により、前年の393.8分から378.0分に減少したが、デジタルメディアのシェアは拡大している(東京在住15~69歳男女)。デバイス別では相変わらずテレビは1位だが、スマホ、パソコン、ラジオ、タブレット端末、新聞、雑誌の順になっている。
スマホ所有率は77.5%と8割に迫る勢いで、特に40代~60代の中高年層の所有率増加がその要因であるという(東京地区)。一方パソコンや新聞、雑誌に触れる時間は減り続けている。パソコンは2011年をピークに減少が続いており、スマホやタブレットへの移行が考えられる。電車の中で本や雑誌を読んでいる人の姿は、もはや過去の光景でスマホを見ている人が圧倒的に多い。これは1999年のiモード登場の頃から始まった現象だが、すっかり定着している。
今ではスマホは身体の拡張メディアともいえ、ニュースやメールを見たり、ゲームをしたり、LINEをしたり、検索していたりする。スマホは、良くも悪くも一日を通して、生活に欠かせないものになっている。実際「タブレット」と「携帯・スマホ」を足したモバイルのメディア接触シェアは30.5%と初めて3割を超えた。
モノが売れない時代にどうやったら売れていくのか
スマホシフトが進む中、生活者は自ら検索して賢い買い物をしたり、情報をとりにいくことができるようになった。デジタルが好きとか嫌いという問題ではなく、利便性や生活スタイルの変化によるものなのである。自分がスマホを使って、買い物や検索をしていることを思えば、生活の一部になっていることがいやでもわかるだろう。
一方、情報提供側からすれば、これまでどおりのスタイルでは売り上げが落ちてくることは明白である。マスメディアにおいても、紙媒体がデジタルに置き換わるケースが増えている。そこでこのままではいけないという「危機感」をきっかけに、新規ビジネスが生まれている。最近では位置情報を利用した広告配信もさかんで、店舗近くのエリアに入ると特売情報がスマホにプッシュ配信されるサービスもある。
提供側にとってのデジタル化のメリットは、生活者に直接リーチすることが可能になったことである。今あるものをデジタルに置き換えることが重要なのではなく、どのようにデジタルならではの価値を付加していくかである。そこに合ったコンテンツ作成も重要になってくる。
モノが売れない時代にどうやったら売れていくのか。賢くなった消費者のニーズに対して、これまでとは違う「なぜ選ばれるのか」の視点で考えていかないといけないだろう。
紙の優位性を訴求するにしても紙とデジタルを対立項で捉えるのではなく、相乗効果を考えるべきではないか。例えば、Webやスマホのほうが効果的と考えられる場合にはDMよりもメールによる集客がいい。もちろん、優良顧客には意匠を凝らしたDMを送ったほうが販促に役立つ場合がある。費用対効果を正確に把握し、クライアントに提案できることが必要になってくる。当然そこには顧客セグメントだけでなく、今何をしているかといった位置情報などのデータ分析が必要になってくる。
これからのビジネス展開にはデータ分析や消費者の動きを知ることは、不可欠な要素なのである。そこにはマーケティングが介在するが、得意な企業とアライアンスを組むことも選択肢の一つだろう。紙メディアの特性を熟知している印刷会社にとって、デジタル時代のビジネスチャンスは必ずあるはずだ。
(JAGAT 研究調査部 上野寿)
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