【有資格者寄稿】DTPエキスパートへの挑戦
広告・プロモーション関連会社勤務 佐々木 秀昭(第43期試験合格者)
現場への想いと資格取得の決意
私がDTPエキスパート認証試験を受験しようと思い立ったのは、昨年の1月半ばの事である。受験申請は既に始まっていたが、転職直後であり準備の時間もあと僅か。正直、迷いも不安も多かった。私は直前の12月に転職を果たしていた。どうしてもやりたいと思った事があった。それは『もう一度現場で技術を学びながら伝えたい』という想いだ。現場に戻り物作りに携わろうと思ったのだ。私の経歴は、商業印刷の製版に20年程携わっており自負出来るものだが、それを資格として裏付けるものとして業界でも名高い「DTPエキスパート認証試験(第43期)」を選んだ。そうして、会社からの有資格者歓迎という熱い要求も後押しとなり受験を決意したのである。
試験対策の模索と試験当日までの道のり
受験を決意したものの、どんな勉強をすれば良いのか?どんな対策を講じればよいのか?迷いに迷った。そこで、まずは直近に行われるこの業界のイベント「page2015 DTPエキスパート最新情報ガイダンス(無料)」に参加し話を聴いた。今回から軌道を修正して元の合格基準にするとのアナウンスと試験についてのポイントを知る事が出来た。ガイダンスの終了後に、講師の方にどんな対策があるかを尋ねると「有資格者とコミュニケーションをとるのが一番良い。受験する側と受験させる側では捉え方が異なる。」という大きなヒントを得られた。ガイダンスの中でもコミュニケーションの重要性は何度も取り上げられていた。幸いにも私の周囲には、DTPエキスパート有資格者が多く比較的相談し易い環境があった。だが、試験までの時間はあまり残されていない。内心で焦りながら、私は有資格者の先輩達に試験勉強対策を教えて欲しいとアドバイスをお願いした。すると、一番多く返って来た返答は「とにかく過去問題をやりぬく事」であった。
本を読んだりするよりも圧倒的に効果的だと私も思う。当時、ベテランの有資格者に拝借した「DTPエキスパート認証試験スーパーカリキュラム 第10版準拠」の巻末の模擬問題に挑戦した所、惨憺たる結果となり絶望の淵に追いやられたのである。一番の要因は問題数が多く、解答し切れないという事実がそこに大きく立ちはだかった。
前半200問、後半200問。各2時間で解かなければならない――。ベテランの彼らの代では前後半共に各350問だったと聞き、少しだけ安堵したのを覚えている。残り一カ月でこの問題数をこなすスピード感が重要だという事を思い知ったのである。幸いにも私は有資格者の先輩方から、過去問題集を拝借する事が叶い数回分の模試が可能となった。あとは受験日までの勝負である。時間を計り問題数をこなす。マーカー式なので、なるべく早く塗りつぶせるように濃いめで芯のやわらかい鉛筆を使用するという事も対策の一つとなった。塗っている間のストレスが軽減されること請け合いである。
ある程度のスピード感が備わり試験まであと数日と差し迫った頃、有資格者の先輩から解答率のバランスチェックについて指摘があったのを覚えている。苦手分野のチェックである。確かに毎回似たような問題を間違えたり勘違いしていたりで苦手な項目を見直す事となった。折角の答え合わせをしていながらグラフを作っていなかった事で、曖昧にしか見えていなかった事が響いた。本番では過去問題以外の問題も新設されるのだ。試験直前の数日間は間違えやすい問題を入念にチェックした。出来ればもっと早く対策したかったものである。
こうして、短期間の中でも有資格者の先輩方の協力のもと、反省しきりではあるが筆記試験は対策を講じる事がかろうじて可能になり、試験当日は全てのマークを埋める事が出来たのである。
現場でのフットワークを活かして実技試験に臨む
筆記試験直後は、頭に残る結果での自己採点ではあまり良く無く、実技試験へのやる気が起きなかった。だが、有資格者の先輩方から「課題を提出しない限り合格は無い。」と幾度となく叱咤激励を頂いた。協力してくれる先輩方に朗報を届けたいと奮起し直し、課題に取り組んだ。制作系は比較的得意ではあったが、その仕様や指示書は作った経験が殆どなかった。そこで、考えられる現場を想定して必要なものを用意する事にした。現場には現場である。各工程に携わる方々がどのようにスケジュールを組み、手配し、制作しているのか?有資格者の先輩方以外の声も指示書に落とし込んでいった。まとめ方は「課題制作の手引き」に従い、自己流ながらまとめていった。制作物も指示書も自分なりに納得できるものとなったのは、提出期限の前日であった――。
エキスパート認証者として決意を新たに
合格発表までは非常にもやもやした日が続き居心地がよく無かった。速報での確認は昼休みとなった。受験番号を確認しホッとしたのと同時に、今後の責任を感じ現在に至っている。その責任とは、社内は勿論だが社外においてもである。
良い印刷物を作り、その技術を共に学び伝え、もっと良くなる方法を現場全体で考えるチーム作りの一員としてのDTPエキスパートでありたいと私は願ってやまない。