顧客のマーケティング活動をサポートするDTPエキスパート
<拡がるDTPエキスパートの役割>
DTPエキスパート認証制度は、当初から「よい印刷物をつくる」を目標に掲げてきたが、その内容は時代とともに進化している。
DTPエキスパートのカリキュラムは、DTP制作環境やソフトウェア、ハードウェア、ネットワークの進化に伴い、2年毎にカリキュラムを改訂している。新たに発表した第12版の主要項目を解説する。
マーケティング活動と印刷メディア
DTPエキスパートカリキュラム第12版における最大の追加項目は、「マーケティング活動と印刷メディア」である。
昨今の印刷ビジネスは、印刷物を製造し、納品するだけでは完結しないものとなりつつある。顧客が本当に求めているのは、美しい印刷物ではなく、キャンペーンの集客や来店者数の増加、新製品の認知度アップや売上げ増という結果である。
顧客が何のために印刷物を製作するのかを正しく理解していなければ、顧客が満足する結果を得ることは不可能である。
例えば、DMは闇雲に数多く送付すれば良いのではなく、顧客のマーケティング活動の一環として、意味のある相手に意味のある内容を送り届けることがもっとも重要である。
現代のDTPエキスパートには、このような状況を正しく理解し、積極的にサポートする役割が求められている。したがって、マーケティングオートメーションやリードナーチャリングなどの知識も必要となる。
理想的な色校正環境
また、印刷ワークフローも年々進化している。例えば、「色校正」はDTP環境の進展、CTPの普及、カラーマネジメント技術により大きく変化した。
かつて、最も標準的な色校正は平台校正機によるものだった。しかし、現在の最上級インクジェットデジタル印刷機は、高精度で安定した色再現、用紙の自由度、コストやスピード、容易な操作性など理想的な色校正環境を実現することができる。一般的なプリンタープルーフにおいても、リーズナブルなコストで必要十分な品質が得られるようになった。
平台校正機は既に販売も中止されており、ごく限られた場合のみに使用されるものとなっている。
顧客志向のソリューション提供が鍵となるデジタル印刷
近年、印刷市場全体はマイナス成長が続いている中で、デジタル印刷の市場は着実に成長を続けている。品質や生産性が向上したのはもちろんだが、ビジネス開発が進展したのが最大の理由ではないだろうか。
製品パンフレットの例で言うと、従来であればオフセット印刷によって大量生産をおこない、一部あたりの価格を最小化していた。
しかし、現在では製品サイクルも短くなり、パンフレットの更新や改訂の頻度も高くなっている。大量に生産するだけ、むしろ保管や廃棄コストが大きくなるという問題を抱えている企業が多い。例えば、製品パンフレットの在庫管理システムや小ロットにて発注・印刷・発送する在庫レス環境を実現することで、倉庫代や保管コストを削減し、顧客が抱えていた問題を解決することできる。
このような仕組み作りによって、デジタル印刷ならではのソリューションが実現する。
DTPエキスパートカリキュラム第12版は、このような昨今のDTP環境や印刷ワークフロー、印刷マーケットの状況を反映したものとなっている。
【第47期DTPエキスパート認証試験】:2017年2月26日(日)実施
(CS部 千葉 弘幸)