第49期DTPエキスパート認証試験結果総評
2018年3月18日(日)に実施しました第49期DTPエキスパート認証試験総評を掲載いたします。
1.結果概要
学科試験と実技試験(課題制作)を併せた最終合格者は80名(合格率48.8%)
2.学科試験
カリキュラム第12版をベースに、新出題項目を加えて全103問(699設問)の出題により実施した。
当日試験には164名が取り組み、うち109名が合格となった。(学科合格率66.5%)
3.実技試験
学科試験当日配布される『課題制作要項』に基づき4週間で取り組んでいただく実技試験については、冊子課題(携帯電話マニュアル)/ペラ物課題(多肉植物ショップの開店案内チラシ)を出題し、138名が期間内に課題制作物を提出した。
実技試験合格者:92名 (提出者ベースで66.7%)
提出課題総評
課題制作では、配布の「課題制作の手引き」に書かれた制作要件に従い、印刷物制作をディレクションする立場で、制作指示書を作成するとともに、支給素材(テキストやロゴデータ、画像など)を使って印刷用データを制作する。
今回、ペラ物課題のチラシは、印刷物形態としては以前から出題しているものではあるが、そのテーマを従来の「旅行チラシ」から「ショップの開店案内」に変えての出題となった。
旅行案内という情報重視の旅行チラシに対し、ショップのイメージを訴求し来店を促す役割をもつ開店案内チラシでは、配置素材をある程度絞り込み、レイアウトの自由度を持たせた課題となった。
従来の基準に加え、プラスアルファの要素として、より効果的なレイアウトが期待される。
提出課題の傾向として、下記の点について知識の再確認が必要と見受けられた。
■QRコード
支給するQRコードデータを規定に従い、印刷適性にも配慮し正しく配置することが求められる。
制作の手引きに記載の通り、まわりの余白や色についてなど、規定通りにデータを調整して配置されていないものについては、減点対象とした。
紙メディアとWebサイトとの連携など、複合的な販促展開が一般化している現状を踏まえた要件である。
■ロゴデータ
前回に引き続き、ショップのロゴデータを支給し、手引きの指示に従い加工する要件を出題した。
色指定や余白の規定について、手引きに記載の点を反映せずに配置しただけのものが多くみられ、減点となった。
■レイアウト全般
今回は、従来よりも配置素材を少なく絞った要件となった。デザインの自由度がある反面工夫を要する課題ではあるが、組版の原則を踏まえていれば、大きな減点とはしていない。よって、組版項目の減点が起因して不合格となった提出物については、今一度レイアウトの基本原則の確認が求められる。
また、制作指示書について主に下記の点から採点している。
- 紙面設計:レイアウト設計を示し、標準化効率化を図るため、制作上の留意点、制作環境、制作手順、紙面設計、標準化と効率化などが記述されていること
- 要素:紙面構成要素を適切に配置するための指示(パーツの詳細など)が過不足なく記述されていること
- 表現:制作工程をスムーズに継承できるよう、正確かつ端的に構成・記述されていること
従来多かった「紙面設計」項目での減点は今回は減少し、レイアウト図やスタイル指示などのフォーマット指定についてはおおむね合格基準をクリアした。
一方、「要素」については、作品では適切に処理されているものの、指示書にパーツの詳述が不足しているものが多く見受けられた。
当試験で問われる「紙面構成要素を適切に配置するための指示」とは、「制作指示書と素材があれば提出作品サンプルとほぼ同等に再現できるような指示」を前提としている。
この点に留意し、課題制作試験に臨んでいただければと思う。
文責:JAGAT資格制度事務局 丹羽 朋子