精度の高いアウトカムにつながるコアスキルとは何か

掲載日:2024年1月18日
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DTPエキスパート認証試験は、2024年3月より学科試験をCBT方式に移行する。1月12日より受験申請受付を開始した。

DTPエキスパート認証制度30周年の節目に学科試験をCBT方式に移行

印刷に関連する幅広い知識が問われることと、実制作試験により実践力につなげる試験であることを大きな特徴として、印刷関連業における人材育成のスタンダードとなるべく推進を図ってきた。だが、その間に印刷ビジネスを取り巻く環境は大きく変化し、特に環境変化の速度が急激に高まったここ数年では、これからの人材はどうあるべきなのかについて認証委員会を中心に議論を重ね、制度設計を行っている。

加えて教育のIT化は進展し、各種試験にCBT方式が浸透したことから、第61期試験より学科試験をCBT方式に移行することとした。

印刷需要の喚起につながる実技試験へ

近年は印刷の強みを生かして印刷需要を喚起する必要性が強まっている。そのため、DTP エキスパート・マイスター取得に課される実技試験では、印刷物が活用される文脈を踏まえたデザイン展開を重視する方向で課題設定している。制作コンセプト書の全体概要は、デザインレイアウトの要件定義だといえる。要件定義次第で、発注者の意図や利用文脈に沿った、より精度の高いアウトカムが得られるかどうかが変わってくる。今後、制作手法が様変わりしていくなかでも、コアとなるスキルだといえるのではないだろうか。

資格者が最も関心を寄せる分野は「AI」~資格者アンケートより

印刷ビジネスの現況を実業務で体感しているエキスパート資格者自身は、今後をどのように見据えているだろうか。そこで、半期ごとに実施している更新試験において、「DTP エキスパートカリキュラム15 版の中から、特に理解を深めたい分野や項目を選び、どのような点を深めたいかを記述する」という課題を提示した。

その結果、昨今の情勢を反映し、最も関心が高い項目として「AI」が挙げられた。続いて「デザイン」「マーケティング」の順となっている。

「AI」に関しては、今後の動向や具体的な活用方法として、原稿執筆・画像レタッチ・デザインなどの制作に関する活用を挙げるグループと、生産管理やユーザーからの質問への回答といったプロジェクト管理・ビジネス化に伴うサービス展開への活用を挙げるグループが見られた。おおむねポジティブな見方を示すとともに、最新情報をキャッチアップしたいとする回答が中心となっている。

また、スキルの優劣に依存しない、あるいは依存しない度合いが高まることで、各業務の精度が向上することに期待を示している。その一方で、重要な視点としては、セキュリティーやプライバシー、著作権といった面で現時点では明確な利用基準が定まっていないことへの危惧や、利用者のモラルが問われる場面を把握したうえでの冷静な活用を望むとする記述なども見受けられた。

一口にAI といっても、何に活用するのかによって、活用する側が備えるべきスキルも異なる。出来上がった装置やソフトウェアプログラムを導入してどのように使うのかといった関わり方のみでは、「省人化」という成果しか見えてこない。付加価値につながる活用に向けて、ビジネスを創る人材、そのために必要なスキルを見定めていく必要がある。

(資格制度事務局 丹羽 朋子)

Jagat Info 2023年12月号より一部抜粋

受験申請ガイダンス

第61期試験概要

【申請期間】2024年1月12日(金)~2月9日(金)

【学科試験期間】2024年3月8日(金)~3月9日(土)

【実技試験期間】2024年3月11日(月)~4月8日(月)