第61期DTPエキスパート認証試験講評

掲載日:2024年5月20日
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第61期試験概況と結果講評を掲載いたします。

第61期試験より、学科試験を全国のCBT(Computer Based Testing)試験会場で行う方式に変更した。CBT試験は各種国家資格および教育機関でも導入が浸透し、全国の各都道府県に複数のテストセンターが存在する。受験者が遠方の試験会場に出向くことなく試験に臨める環境を提供する方式として定着したといえる。

DTPエキスパート認証試験では、2013年より在宅型CBT方式(自宅や会社など任意の環境において、インターネットに接続したパソコン上で試験に取り組む方式)を更新試験で採用し、12年間合計23回の実施実績がある。コロナ禍以降、社会人の研修・学習環境のデジタル化が進み一般化したことを受け、大都市会場での一斉試験に拘泥せずより広く機会を提供することが印刷関連人材育成につながるとの考えから、この度本試験について、全国各地のテストセンターで試験に取り組む会場型CBT方式に移行するにいたった。

試験実施状況

今期試験では合計126名が受験申請し、受験者は予約した日時に会場に向かい、各自試験に臨んだ。(実技のみのアップグレード受験者8名を除く。)

試験会場では受験票等は必要なく、身分証明書による本人確認のうえ、指定座席に着席する。操作ガイダンスにより試験への解答方法などを確かめたのち、本番試験への取り組みを開始するため、特に操作等の不明点などで支障をきたす例はみられなかった。CBT方式の受験が初めてであっても、ごく初歩的なパソコン操作に慣れていれば問題なく受験できるので、ご安心いただきたい。

※試験結果は、合格発表ページをご参照ください。

学科出題内容と結果

受験者の利便性を高めるため、試験日は2日間(平日または土曜)より日時選択できるように設定した。従来の一斉試験、同一問題冊子による試験とは異なり、出題内容は受験者によりランダムに出題される方式で行った。問われるテーマは全員共通とし、同一テーマから、受験者によって異なる問い方で出題している。問い方によって難易度が異なることのないように出題内容および採点において調整を行い、厳格性と公平性を担保するよう実施した。

従来の学習教材である問題解説書や問題集は、各テーマに対する解説やサンプル問題で知識を定着させ演習する構成となっている。しかしながら同一テーマであっても様々な問われ方で出題されるため、公開されている問題集の丸暗記だけでは対応できない問題もある。サンプル問題で学習を進める場合は、問題本文の内容を理解し、サンプル問題で問われている箇所以外についても関連知識を高めておく必要がある。問題は空欄補充の選択式となっているが、サンプル問題の空欄箇所とは別の箇所を問われても答えられるような理解度が必要である。こうした学習方法をとることで、試験の合格だけでなく、その後の業務にも活用できる生きた知識となることと思われる。

 

実技試験

煎餅店の期間限定ブース出店時に配布する案内リーフレット(仕上がりサイズA5、二つ折り見開き4ページ)をデザインレイアウトするという課題を出題した。

出題のポイントとしては、

  • デパート地下の常設展入りを狙ったイベント販促物。40代以上の高所得者層向けブランディング。(制作コンセプト)
  • 原材料や商品へのこだわりが伝わるような紙面。(デザインレイアウト)
  • コーポレートカラーに特色を用いる表面とプロセス4カラーの中面のデータ制作(色、印刷適性)
  • 支給素材である商品写真について、現物サイズの差異を理解してレイアウトに反映(デザインレイアウト)

といった点が挙げられる。(上記括弧内は評価項目名)

実技試験要項に記載されている制作の前提条件、発注者の意図から、煎餅店のブランディング(老舗としてのこころざしと素材へのこだわり)や具体的に達成したい目標(期間限定出店から、常設店入りへの要件となる売り上げ達成)に対し、リーフレットを通じてどのように実現するか、が問われる課題となった。

折りリーフレットはマイスター実技試験で初めて出題される題材であり、判型と素材分量のバランスも従来課題と異なる。デザイン力が問われる課題となったが、6割近い提出物が合格基準に達し、受験対策だけでなく真の実力が発揮されたといえる。  

作例61期_1作例61期_2 










不合格となった提出物の多くは、中面本文の視線誘導の点で減点となっている。見出しや写真12点をメリハリなくカタログのように並べてしまうと、老舗のこだわりが活きてこない。原材料一覧の表組データ(.xlsxファイル)を素材支給しているが、ほとんど手を加えず配置している提出物もいくつか見受けられた。紙面全体でのデザインレイアウト性が問われるため、こうした細部についても全体効果に影響する場合は加点減点対象となることに留意されたい。

データ制作に関しては、表面と中面で色数が異なる点に対しほとんどの受験者が問題なく対応できており、印刷適性や画像/色の項目でも合格基準に達しているものが多かった。

実技試験では、大量一括生産から個別化した価値が重視される昨今のビジネス環境を踏まえ、制作者がより多様な印刷物制作に携わる傾向を想定し、毎期新課題を出題している。

(DTPエキスパート認証委員会)

第62期DTPエキスパート認証試験

学科試験を全国の最寄り会場から受験日時を選択して受験できるCBT方式で実施します。

第62期試験

試験期間:2024年8月2日(金)~8月3日(土)

受験申込期間:個人受験申請:2024年5月28日(火)~7月2日(火) 団体受験チケット申込:2024年5月28日(火)~6月25日(火)