第62期DTPエキスパート学科試験実施レポート
第62期DTPエキスパート認証試験学科試験を8月2日(金)および8月3日(土)の二日間、全国各地のCBT試験会場で実施した。
受験申請者数は、マイスター申請者(学科試験および実技試験)が86名、エキスパート申請者(学科試験のみ)が108名となった。
昨年同期比でほぼ同等の受験者数となったが、受験会場の広がりにより、近隣での受験を可能にし、受験者の利便性を高め、さらに企業としての受験促進環境を整えるよう展開している。
今回で2回目となるCBT方式学科試験では、全国27都道府県、79会場において試験が実施された。日常業務を調整し平日に受験する場合と、従来試験同様に週末に受験する場合を想定し、金・土の二日からいずれかを選択して受験する方式としている。各受験日の内訳は、以下の通りである。
[受験日ごと受験者数一覧]
試験日 | 受験申請者数 |
---|---|
8月2日(金) | 68名 |
8月3日(土) | 126名 |
CBT方式学科試験の傾向と今後の展開
学科CBT方式第一回目である第61期試験では、模擬問題や書籍教材などに掲載されている問題(大問)について、同テーマでも掲載設問とは異なる問い方をしている設問の正答率が低くなる、という傾向が見られた。
試験講評でも触れたが、掲載されている問題集の内容を理解して事前学習していれば対処できるはずの設問であっても、単に暗記するだけでは正答には至らない。またこういった対処では、運よく試験に合格したとしても、本来必要である知識が不十分のままとなってしまう可能性がある。
より多くの問題と解説資料により理解を深め合格につなげることを目的に、7月1日より、CBT方式学科試験に対応したeラーニング教材の提供を開始した。eラーニング教材では、解説書や問題集のページ数という制約を超えて、より多様なコンテンツにより理解を深める可能性が広がる。
エビデンスベースの教育プログラム開発
近年、エビデンスベースの企画開発が求められる傾向があり、人材教育の場でも研究が行われている。右肩上がりの経済成長社会では、過去の経験や勘に基づく企画開発が功を奏する場面もあったかと思われる。
現在の経済環境では、限られた収益の中から、明確な根拠となるデータを基にした精度の高い企画開発を行わざるを得ない。また、各種プロセスのデジタル化により、根拠データを集めやすくなったこと、これらデータを取り扱えるスキルを持った人材が現役世代の中心となってきていることが、エビデンスベース企画開発の背景にあると見られる。
学校教育の場面でも、エビデンスとなるデータを集め、教育プログラムを改善していく動きがある。一人一台端末を前提としたGIGAスクール構想に対し、デバイスの保有と教育効果の因果関係、教育コンテンツ(ソフト面)整備との相関など、小規模実験で成果と要因分析を行いながら、全国展開への実装を具現化していくという取り組みだ。
今後印刷人材の多角的活躍に向けても、参考にしたい動きである。
(JAGAT丹羽朋子)